エアバンド受信機用プリアンプの製作

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[電子工作/ラジオの製作]
[SGM2006M,エアバンド,GigaSt,uPC1651G]

origin 2009-03-22


 「エアバンド受信機の製作」では、古いNECの広帯域アンプICのuPC1651Gを使用しました。最近の広帯域アンプICと見比べると帯域、利得やNFではちょっと見劣りします。エアバンド専用で使用するには、広帯域である必要はありませんので利得とNFがすぐれた単品のトランジスタやFETを使えば性能的には良いものができるでしょう。

 ということで、秋月電子で10個200円(安!)で売っているGaAs MES FETのSGM2006Mを調達しました。仕様では、800MHzで22dBの高ゲインと1.3dBの低NFが得られる高性能なチップです。エアバンド専用で使用するにはオーバースペックの様な気がしますが、1個20円なら気軽に使用できます。ただ、値段と性能は問題ないのですが、このサイズが「お手軽」に利用するには問題ありですね。

GaAs MES FET SGM2006M

 回路は、昔のデュアルゲートGaAs FETを使うプリアンプ回路と同じようにしました。入出力の同調回路はトロイダルコアにUEW0.2φを巻いて作成しました。FCZコイルの144MHz用やタップ付きの空芯コイルでも問題ないと思います。電源は9Vとしましたが、5V程度からも動作すると思います。 

エアバンド受信機用プリアンプ回路図

 専用ICと比べて周辺に部品が多いので、ベタ基板に張り付けランドでは厳しいと思います。「PPテープでプリント基板エッチング」の手法で専用基板を作ります。基板パターンは、入出力とFET部分を確保したらあとは適当にランドを作ります。PPテープにフリーハンドで基板パターンを描いて、定規とデザインナイフでPPテープをカットします。今回、PPテープを張る前に基盤を脱脂するのを忘れました。そのためか、密着が悪かったようでパターンが少しエッチング液に浸食されてしまいました。

PPテープエッチングプリアンプ基板

 適当に作ったパターンなので部品実装に苦労しました。すべてチップ部品を使えばもう少しすっきりすると思います。

プリアンプ部品実装

 GigaStをTGモードにして調整しました。入出力のトリマコンデンサを調整して125MHzに同調するように調整します。同調回路のQが高いようでかなりシャープな特性となりました。ちょっとピーキーなアンプです。出力側の同調回路は不要かもしれません。インピーダンスマッチングのみでちょうどいいかもしれません。利得は125MHzでは約28dBあります。(ちょっと、ありすぎのような気がします。)120〜130MHzの帯域内で15dB以上の利得があります。(最終的には同調回路をQダンプしたので利得が低下して帯域が広がっています。)

エアバンドプリアンプ利得周波数特性

 信号発生器から125MHzの信号を‐90dBmから‐10dBmまで入力したときの出力特性です。

エアバンドプリアンプ入出力特性グラフ

 エアバンド受信機のuPC1651GのプリアンプをSGM2006Mのものに交換しました。電源は9Vとしましたが、5V〜12Vで動作することを確認済みです。
 入力コネクタを開放すると発振状態となりました。入力同調回路にQダンプ抵抗を接続して対策しました。Qダンプ抵抗は、2.2KΩとしましたが、多少利得を犠牲にしても帯域を広げたい場合は、もう少し小さな抵抗値が良いのかもしれません。

uPC1651GプリアンプSGM2006Mプリアンプ

 実際にエアバンドを受信してみると、残念ながらuPC1651Gの時と耳で比較する限り変化はありません。相互に切り替えて比較すれば違いがわかるかもしれませんが、耳で聞いただけではダメですね。
 東京管制の周波数を受信しながらトリマで感度がよくなるように調整しました。かなり良くなったような気がします。ただ、航空機から強い信号が入ると感度抑圧された状態となってしまいます。また、特定の周波数(130MHz付近)で発振したような状態も確認できます。プリアンプの出力に3dB程度のアッテネータが必要かもしれません。

 ついでに外したuPC1651Gの広帯域プリアンプをGigaStで測定してみました。

uPC1651Gプリアンプの測定

 500MHz程度までは15dB程度の利得がありそうです。500MHz以上は、あやしいです。部品点数も少ないし再現性もよさそうなので、エアバンド受信にはこれでも十分ですね。^^;

uPC1651G利得周波数特性

再び製作


 せっかく作ったのですが、特定の周波数で発振してビート音が聞こえるのが気になります。同調回路のQダンプも気に入らないため、改めて作り直すことにしました。
 今回は、出力に同調回路を設けず、トロイダルコアT25-#12にポリウレタン線0.2φをトリファイラ5Tとした伝送路トランスによるインピーダンスマッチングのみとしました。電源も抵抗でデカップリングし、出力にも3dBのアッテネータを挿入しています。

エアバンド受信機プリアンプ改

 基板もPPテープエッチングで新たに作り直しました。今回は実態配線図を紙に書いて無駄なランドが出来ないように考えました。(でも、電源のデカップリング抵抗の部分のパターンを忘れました。リュータでパターンを作ってしのぎました。^^;)

プリアンプ基板改

 部品もトリマコンデンサ以外はすべてチップ部品としました。コンデンサはなんとか3216(3.2x1.6mm)が調達できたのですが、抵抗はすべて2012(2.0x1.25mm)となりました。2012なら問題なく手半田できます。ただ、チップ部品は縦横が小さくなるだけじゃなくて、厚みも薄くなってきているのでピンセットでつまむのも難儀します。^^;

チップ部品で実装GigaStでの測定

 GigaStをTGモードにして周波数特性を測定しながらトリマを調整して利得のピークが125MHzとなるようにしました。前回よりはブロードな特性です。利得は最大で22dB程度とれています。

プリアンプ広帯域利得特性

 目標帯域の120〜130MHzの周波数特性です。TGの出力は-30dBmとしているので、帯域内の最低利得は約16dBとなります。東京管制の周波数では、22dB程度の利得があります。

プリアンプ狭帯域利得特性

 その他、入力を開放したりアンテナをつないだりして妙な発振が起こらないことをGigaStで念入りにチェックした後、エアバンド受信機のプリアンプとして組み込みました。

エアバンド受信機へのプリアンプ組み込み

 エアバンドを受信してみると、かなり感度が良くなった印象です。特にこれまでまったく聞こえなかったカンパニー無線の地上局がカスカスながら受信できます。また、異常発振に伴うビート等はまったくなく、ノイズレベルも低いような気がします。今回は満足できる性能となりました。


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