信号発生器(HP8657D)の修理

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origin 2009-12-06



 HPのシグナルジェネレータ 8657Dを入手しました。正常動作しない故障品ということで破格の値段です。動作しないといっても電源は入ります。パネルのLEDは点灯するしパネル操作は反応するということでした。通常、8657シリーズの末尾がDのものは、デジタル位相変調?の信号を出すための別のユニットと一体化されていますが、こいつは、単品です。HPのWebサイトには、単品だと8657Aと同一機能と書いてありますが、どちらかというと8657Bに近いと思います。
 単品でも、このサイズと重さには閉口します。特に奥行き。実物を見ることなく、オークションで落札した人は、このサイズにびっくりすることでしょう。一般的な家庭には大きすぎます。(・・・当然、一般的な家庭で利用することを想定した装置ではありませんが・・・・・・^^;)
 出力周波数は、100KHz~1040MHzで1Hz単位で可変できます。アナログ変調としてAM/FM変調が可能となっています。内蔵オプションを見てみると、001とあり、高安定タイムベース(温度補償付水晶発振器か?)が組み込まれています。

シグナル・ジェネレータHP8657D

 電源入れてスペアナで信号を見てみると、一応信号は出ています。ただ、どの周波数でも最大出力が-40dBm程度と確かに正常動作していません。^^;
 パネル操作すると、周波数は正常です。AM変調やFM変調もスペアナで見る限りは正常です。アンプかアッテネータが故障しているような・・・・。とりあえず、Webで情報を漁っていると、HPのWebサイトにメンテナンスマニュアルがあります。ブロック図があるので出力から追っていくと、出力アンプは、HighバンドとLowバンドにわかれています。出力は、HighバンドもLowバンドも全く同じレベルなので出力アンプの故障はなさそうです。(同時に壊れることはなかろうと・・・いう理由ですが。)
 ブロック図からHighバンドとLowバンド共通のアッテネータが怪しそうです。でも、信号発生器は、スペアナのような入力機器でなく出力機器なのでアッテネータが焼損することは少ないと思います。間違って高周波を入力しても保護する回路も内蔵されています。
 信号レベルを変更すると10dBmごとにリレー音がします。リレー端子の接触不良かリレーの動作不良ではなかろうかと、レベルの切り替えをガチャガチャやってみたのですがレベルも変化せず解決しません。しょうがないのでケースを開けて中を見てみることにしました。

 中を見てRF出力から追っていくと下面側にアッテネータが2セットシリーズ接続されています。Webで33321という型番を調べてみるとDC-4GHzの70dB(10dBSTEP)というスペックのアッテネータということがわかりました。

HP8657D内部1HP8657D内部2

 アッテネータの入力までは正常なレベルの信号が来ていることが確認できました。したがってアッテネータが故障していることがハッキリしました。2個のアッテネータのコントロールをつなげたまま別のSGから信号を入れて製作した電界強度測定器で減衰レベルを確認するとレベルの変動しないアッテネータが判別しました。

HP8657Dアッテネータ1HP8657Dアッテネータ2

 こいつです。^^;
 分解できそうです。どういう構造か知りませんので外せるねじは片っ端からはずします。 リレーが3個内蔵されています。7段階なのでリレー3個(3ビット)なのでしょう。


 SMAコネクタ側は、ものすごいネジの数です。ボディもしっかりとしたダイキャストだし、いかにも高価な部品みたいです。ネジを外すとアッテネータチップが見えます。おそらく10dB、20dB、40dBのアッテネータでしょう。

アッテネータ修理1アッテネータ修理2

 可動部分を見てみるとなんか変です。一番外側の板ばねのようなものが外れています。この板ばねが接点としてリレーで可動する構造です。よく見てみると、プラスチックに固定されている部分が外れています。プラスチックのボッチが折れています。この外側ばねが外れて信号が伝わってなかったのでしょう。

アッテネータ修理3アッテネータ修理4

 交換部品なんぞありませんので、プラスチックと板ばねを瞬間接着剤で固定しました。^^; 
 修理したものを取り付けて8657Dから信号を出してみると正常なレベルに戻りました。

アッテネータ修理5アッテネータ修理6

 スペアナで信号を見てみます。スペアナといってもスペアナ機能を内蔵した無線機テスターです。こいつも入手時はスペクトルのふらつきやフロッピードライブの故障があったのですが、知り合いにお願いして修理調整していただき、簡易校正まで済ませています。  
 100MHzと1GHzの-20dBm無変調です。レベルと周波数は問題なさそうです。ちょっとC/Nが悪そうですが、こんなものでしょうか?。RBWを絞ると近接に変なものが出ていそうな・・・。このスペアナではスペック不足で確認できませんが。

HP8657D 100MHzスペクトラムHP8657D 1GHzスペクトラム

 アッテネータの動作確認をしてみました。左は10dBごとに変化させて重ね書きしたものです。右は、1dBごとに変化させてみました。修理したステップアッテネータは正常に動作しています。レベル調整もいいようです。

HP8657Dアッテネータ動作確認HP8657Dレベル調整確認

 AMとFMの変調をかけてみました。問題なしです。

HP8657D AM変調HP8657D FM変調

 スペアナをMax Holdモードでスキャンさせながら8657Dの周波数を連続して可変して手動トラッキングジェネレータをやってみました。8657Dは、周波数アップダウンスイッチを押しっぱなしで周波数を可変しています。エミフィル(エリミネーションフィルタ)の10MHzから500MHzまでの周波数特性です。

HP8657D手動スイープ

 修理完了です。ただ、アッテネータの可動接点を接着剤で固定しているので(しかも振動に弱い瞬間接着剤)、使用していると故障が再発する可能性が高いと思われます。アッテネータ単体があれば手に入れたいと思いますが、アッテネータ単体が本体の入手価格よりも高くなることはまちがいありません・・・・。一番安くあげるのは、外部アッテネータをオークションなどで入手して内部アッテネータをスルーするのが簡単かもしれません。
 


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