短波ラジオの製作その3(LA1600)

[公開:any]

[電子工作/ラジオの製作]
[LA1600,TA7368P,スーパーヘテロダイン,ラジオ,短波ラジオ]

origin 2008-10-05


 前回の「短波ラジオの製作その2(LA1600)」は、イヤホンでの利用は、一応実用範囲ですが、気分的には完全に失敗作となりました。
 私の技術力では、低周波出力の異常発振の原因を解明することはできませんでした。以前に、ほぼ同じ部品構成で中波ラジオを製作して異常発振はありませんでした。このときの中波ラジオと異なる点は、同調回路と局発回路にバリキャップダイオードを使用していることです。インターネットで検索すると、バリキャップダイオードを使用した短波ラジオの製作例は多いので、使用すること自体に問題はないと思われます。
 しかし、私の回路設計の未熟さから、バリキャップダイオードの動作のための電源ラインの取り回しなどで、変な結合や回り込みが発生している可能性は排除できないと考えます。

 今回も、AMラジオICのLA1600と低周波増幅ICのTA7368Pを使用して、ほぼ同じ構成で再挑戦しますが、バリキャップダイオードを使用するのをやめて、ポリバリコンを使用したオーソドックスな発振・同調回路で製作したいと思います。

ブレッドボードで再開発


 いつものようにブレッドボードでテストします。
 前回は、ブレッドボードでも異常発振を確認しているので、今回は慎重にテストを重ねます。コンデンサの値を変えたり配線経路を変えたりして発振しないことを確認しました。

ブレッドボードで短波ラジオ

 ただ、電源の供給場所を変えると、低周波出力に異常発振が見られましたが、低周波増幅ICのTA7368Pの電源ピン近くとLA1600の電源ピンの近くにそれぞれ電解コンデンサを取り付ければ異常発振が収まることがわかったので、電源のデカップリングで対処できそうです。

 ポリバリコンは、はじめにストレートラジオ用を使用してみたのですが、チューニングがシビアすぎて大変です。スーパー用のポリバリコンに交換したところ多少は改善しましたが、それでも高い周波数の放送に同調させるのに苦労します。
 チューニングは、同調用ポリバリコンで空電ノイズが大きく聞こえるように大まかにあわせて、局発用ポリバリコンで放送にチューニングします。その状態で再度、同調用ポリバリコンを調整して、もっとも大きく聞こえるようにする方法としています。

 局発の発振波形をオシロスコープでモニターしてみました。結構きれいな正弦波です。発振範囲は、5.8〜15.8MHz程度になりました。

局発波形1局発波形2

 発振周波数が低いときに、局発の発振が止まることがまれに発生します。この状態から再度、発振させるには、局発コイルの2次側に指で触れるか、ポリバリコンを周波数が高くなるほうへまわして電源をいれなおせばいいようですが、若干の不安材料ではあります。

回路図

 Bsch3Vで回路図を作成しました。
 回路そのものは、過去の製作例と同じようにLA1600やTA7368Pのデータシートにあるサンプル回路にほぼ準拠しています。また、インターネットでも同じような構成のラジオを見つけることができるので、大きな問題はないと思われます。
 回路図中のトリマは、ポリバリコン内蔵のものです。LA1600とTA7368Pは、電圧3Vで十分に動作するので、電源は、単3乾電池2本としました。
 電源ラインは、47Ωの抵抗で高周波と低周波回路をデカップリングしています。また、各ICには、100μFの電解コンデンサを電源ピンの近くに配置しました。

短波ラジオ回路図

 PCBEでユニバーサル基盤用の実装配線図を作成しました。
 問題があるとすれば、基板上の配線の取り回しだと思います。前回の短波ラジオの配線パターンをベースに高周波部分をグランドラインで囲むようにしてみました。ただ、前回も、高周波部分単体の動作には問題は見つけられなかったので、これに効果があるかどうかはわかりません。
 秋月電子の小さい基盤を使用しますが、部品数が少ないので多少の余裕があります。もし、異常発振したら、コンデンサや抵抗で対策できると思います。

短波ラジオ基板配線図

製作

 部品の半田付けが終わりました。

短波ラジオ基板表短波ラジオ基板裏

 バラックで接続して受信テストしてみます。同調、局発とも個別のバリコンで調整するのでトラッキング調整は必要ありません。放送を受信しながら、IFコイルをまわして最大音量となるように調整しました。
 異常発信を心配しましたが、今回は、正常に動作しています。ラジオNIKKEIを聞く限りでは、受信感度もブレッドボード時よりも良い感じです。ボリュームも最大付近まで上げてもクリアに聞こえます。(スピーカーの性能が良くないので音が多少割れます。)

 ポリバリコンをつかんで同調操作すると、浮遊容量の変化で受信周波数がふらつきます。そのため、細かな調整で放送に同調させても手を離すと受信周波数がずれてしまい、なかなかうまく受信することが出来ません。部品の配置上、ポリバリコンは、外だし(基板外)にするしかありませんが、出来るだけ配線を短くするほうが良さそうです。

短波ラジオ受信テスト

 短波ラジオに内蔵するつもりでテスト中だった、PICで作った周波数カウンターで受信周波数を測定してみると、約5.1〜15.5MHzの範囲が受信できます。周波数カウンターの接続は、1000pFのコンデンサのみで接続しています。接続すると多少受信周波数が変動するので正確なところは不明です。

短波ラジオの受信周波数1短波ラジオ受信周波数2

 音量にもよりますが、消費電流は、10mA前後となりました。単3電池2本で長時間動作させることが出来ます。

完成


 ケースに組み込みました。ケースは、100円均一のディスプレイ用プラスチックケースです。
 組み込みの都合上、発振コイルとポリバリコンの距離がさらに開いてしまいました。ただ、ポリバリコンそのものに手を触れることがないので、ボディエフェクトの影響は少ないです。
 また、ブレッドボードでは、受信周波数が低い時に局発の発振が止まることがありましたが、基板に組んでしまえば低い周波数も安定して発振するようです。

 チューニングは、かなりコツがいります。慣れれば最大感度まですぐに調整できますが、選択度のよさが裏目に出ています。(・・でも、2個のバリコンを調整して同調操作するのは、マニアックな感じがして、楽しいです。^^;)

 スピーカーは、ケースに入れて多少聞きやすくはなりましたが、もっと大きな口径のものが良さそうです。でも、やっぱり短波は、イヤホンやヘッドホンが聴きやすく感じます。
 
短波ラジオ完成写真

ポリバリコンのダイヤルメモリは、AM中波放送用なのでKHz(×100)単位となっています。そのままMHzとして読めば多少のずれはありますが、おおよその受信周波数の目安とすることが出来ます。

アンテナ端子は、陸軍端子を使用しました。夜間は、先端にワニ口クリップをつけた60cm程度のワイヤーだけでも十分に受信できます。日中でもラジオNIKKEIや、チョソンの声が受信できます。

短波ラジオ完成写真2

短波ラジオとしては、性能に十分満足です。電源は、普通の単3電池なのでランニングコストが少なくすみます。電圧が2.0V程度でも問題なく動作するので、使い古しの乾電池でも十分です。


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