3端子レギュレータを使ったトラッキング電源の製作


最終更新時間:2010年05月21日 21時11分16秒

[公開:any]

[電子工作/一般]
[LM317T,LM337T,LM358,電源]

origin 2010-05-21


注意:電圧を出力したまま電圧の切り替えスイッチを操作すると、一瞬、レギュレータの電圧設定端子がオープンとなり、最大電圧(18V程度)が出力されます。負荷の種類によっては故障の原因となりますので、注意してください。

 オペアンプを使用した回路の実験などをすると正負出力があるトラッキング電源がほしくなります。両電源のオペアンプも単電源で利用できる場合がありますが、多くのオペアンプは、プラス・マイナスの電源が要求されます。正電源は用意できるのですが、負電源は簡単に用意することができません。この機会に製作することにしました。

 一般的なオペアンプは電源として±3V〜±15Vの範囲に対応しているものが多いようです。よって、正負電源の出力もこの範囲を可変できるものとします。ただ、可変といっても連続可変すると電圧調整等が面倒なので、オペアンプの電源電圧として一般的と思われる3.3V,5.0V,6.0V,9.0V,12.0V,15.0Vの6種類をスイッチで切り替える方式とします。

 電源の回路は、簡単にするために出力可変タイプの3端子レギュレータを使用します。正電源はLM317Tを、負電源はLM337Tを使用します。電圧可変は、正電源の電圧変化を検出して負電源の3端子レギュレータをオペアンプで制御する方式としました。これで正確なトラッキング電源として動作します。

3端子レギュレータトラッキング電源回路図

 電圧を決定する抵抗は、計算で求めた値に近くなるようにいくつかの抵抗を組み合わせます。ただ、計算通りの抵抗値でも電圧が若干狂うのでカットアンドトライで抵抗を決定しました。コストを無視すれば、5kΩの多回転ボリュウムを複数使うのが微妙な調整もできて便利です。

 ユニバーサル基板を使用した基板実装図です。3端子レギュレータは、低い電圧出力時には、かなりの発熱がありそうなので小型のヒートシンクをつけます。

トラッキング電源基板実装図

 部品を実装した基板表と裏です。トラッキング動作を検出する10KΩの抵抗は、1%誤差の金属皮膜抵抗を使用して、正確に同じ値のものをテスターで選別します。また、電圧を可変するための抵抗も金属皮膜抵抗を使用しました。

トラッキング電源基板表トラッキング電源基板裏

 バラックでテストすると負電源の電圧が安定しません。正常にトラッキング動作しない状況です。実は、この組み立て前にブレッドボードで試した時も同じ症状がありました。LM337Tの出力にある程度の容量の電解コンデンサを接続すると発生する症状です。ブレッドボード上で出力コンデンサを低ESRの22uFに変更したところ正常になったので、そのまま組み立てたのですが、まだまだ容量が大きいようです。オシロで出力波形をみると大きな電圧変動が約10Hzで発生します。

トラッキング電源出力ノイズ波形

 かといってLM337Tは、出力コンデンサにある程度の容量のものを接続しないと以下の波形のように発振します。

トラッキング電源出力発信ノイズ波形

 結局、電解コンデンサの容量を10uFまで減らすと正常になりました。ただ、電圧を切り替えた時に安定するまでのタイムラグが発生するので、安全を見込んで1uFを使用することにしました。1uFでもリプル軽減には大きな効果があります。負荷をかけてもオシロスコープではリプルは確認できません。

 ケースに組み込みました。トランスは中点付きの±13.0Vのものを使用しました。トランスの出力電圧は、13V × √2 で18V以上となり、ダイオードでの電圧ドロップを見込んでも15V出力には問題ありません。トランスの出力電流は最大300mAまでとなります。3端子レギュレータ自体は1.5Aまで対応しています。・・が、オペアンプの実験では300mAもあれば十分だと思います。

3端子レギュレータトラッキング電源ケース内部

 小さなケースなのでパネル面は余裕がありません。電源スイッチとは別に出力のオン・オフスイッチをつけました。これがあるとかなり便利です。出力はスピーカー端子を使用しました。

トラッキング電源外観

 出力電圧をマルチメータで計測しました。正確なトラッキング動作が確認できました。



電解コンデンサの劣化


 製作前にブレッドボードで回路のテストをしているときにコンデンサの逆接続や過電圧印加をやらかしました。特に負電源は正極が接地側なので電解コンデンサの逆接続をやってしまうことが多いと思います。逆接続や過電圧をやるとコンデンサが異常に発熱したり煙が出たりします。大きな電解コンデンサだと「パン」という大きな音を発して破裂します。(数回経験あります。)
 発熱しただけなら正常な接続に戻してそのまま使用することもあります。性能的に劣化しているのか、以前製作したコンデンサー容量計で測定してみました。
 
 まず、1000uF/25Vの電源用電解コンデンサです。ブリッジ整流後の平滑コンデンサとして使用していましたが、負電圧側のコンデンサを逆接続したまま電源を入れました。負電圧が安定しないのでいったん電源を切って調べているとコンデンサが異常に発熱していることから逆接を発見しました。逆接したのは数分程度です。

 外形に全く異常はみられません。


 コンデンサー容量計で確認すると逆接したものは900uF程度と正常なものに比較して1割程度容量が低下しているようです。


 100uF/16Vの電解コンデンサです。負電源用3端子レギュレータが発振して20V以上の過電圧をかけてしまったものです。数十秒程度で白い煙を吐きました。

 外形も下部の安全弁が開いた状態なので、向こう側の正常なものより長くなっています。


 容量も2割程度少なくなっています。


 電解液を吹いたり発煙して外形が変化したコンデンサをそのまま使うことはないでしょうが、外形に変化のないものはそのまま使用することがあります。でも容量は少なくなっているので注意が必要ですね。ESRを測定すればさらにコンデンサの劣化について明瞭に判別できると思います。