DC-DCコンバーター2

最終更新時間:2007年12月22日 22時49分55秒

[公開:any]

[電子工作/実験]
[DC-DCコンバーター,HT7750]

origin 2007-12-22


HT7750とHT7750Aの評価をDC-DCコンバーター4(HT7750Aを再テスト)で改めています。(2008-07-19)

HT7750を「PICを使った周波数カウンター」で実際に使用しました。(2008-08-02)

HT7750を「電界強度計の製作」で実際に使用しました。(2008-12-14)

おことわり

ここは、シロートが手持ちの機材で実験した結果です。信頼性と再現性はきわめて低いと思って下さい。ここの内容全てに、「ブレットボードでの実験環境では」という枕詞が適用されます。

また、記録をデジカメの写真としていますので、重いページになっています。

PFM Step-up DC/DC Converter

前回の実験「DC-DCコンバーター」に続いて、今回もHOLTEK社のPFMステップアップDC/DCコンバーターをテストします。今回入手したのは、前回のHT7750をバージョンアップしたものでHT7750Aとなります。入手先は前回と同じ共立電子。

HT7750は最大100mAまでとなっていましたが、共立のサイトにHT7750Aは、最大200mAまでと謳い文句が書いてあります。HT7750は、単3乾電池一本で40mA出力時に4.3Vの実力がありました。謳い文句とおり、ざっくり2倍としたら4.3V出力で80mA程度が得られるハズです。(チョット楽しみ)

HT77XXシリーズ3兄弟です。左からHT7750A、HT7750、HT7733です。いずれもTO-92パッケージなのでトランジスタのようです。(どれも同じなんで紹介するほどのものではないですが・・・^^;)

DSC01183.jpg

実験回路

今回も、「単3乾電池一本」にこだわります。
実験に使った回路は以下のとおり。前回は抵抗負荷(当然、出力電圧が変われば負荷電流も変化する)でしたが、今回は「MOS FETを使った電子負荷装置の製作」でつくった電子負荷を使います。

あと、HT7750のデータシートでは、出力側のコンデンサが100μFとなっていましたが、今回のHT7750Aのデータシートでは、22μFとなっているので、それに従っています。なお、コンデンサは、タンタルコンデンサが指定されていますが、手持ちの都合でフツーの電解コンデンサ(ケミカルコンデンサ)としています。

DC-DC2.PNG

前回もそうでしたが、この回路のキモは、コイル(インダクタ)にあると思います。ということで、今回も手持ちのインダクタをとっかえひっかえして興味本意での実験を行います。この結果を踏まえて「なんか作ろう」とは、今のところ考えていません。^^;

DSC01185.jpg


インダクタ22μH

前回のHT7750で、出力40mA時に4.3Vともっとも良い結果が得られたインダクタです。

DSC01186.jpg

今回も・・・と、期待して実験してみます。

DSC01192.jpg

前回とあんまり変わらない値となりました。
テスターが電子付加装置への電流値でマルチメーターが電圧値となっています。(以下全て同じ)

2倍じゃないのか・・・--;

前回と負荷や出力側コンデンサが違うため単純には比較できません。・・で、同じ実験回路に前回使用したHT7750を指してみると

DSC01197.jpg

バージョンアップした新型よりも良い結果が・・・どうなってんの??。

あと、新型は無負荷時をふくめて電圧値の表示が安定しません。周期性をもって変動しているようです。オシロスコープで出力波形を観測してみました。

DSC01187.jpg

ノコギリ波??。2Hz周期で電圧が変動しています。変動幅は168mV程度と結構な値です。データシートを確認すると、インダクタ47μHを使った場合に、40mA出力時に60mVのリプルがあると記載されています。ということは、環境もふくめてこんなもんかと・・・


インダクタ100μH

100μHのインダクタは2種類用意しました。一方は電源用として売られていたもので定格電流は500mA程度だったと記憶しています。もう片方は、インダクタンス以外は正体不明です。外形からほぼ同じコアサイズと思われるので、極端に細いリードを使ってなければ同じ様な定格電流と抵抗値だと推察しています。

DSC01194.jpgDSC01195.jpg

双方ともほぼ同じ結果になりました。結果として22μHのインダクタに劣ります。

このインダクタも出力電圧が若干ではありますが、細かい変動があります。
オシロスコープで波形を観測してみました。

DSC01189.jpg

22μHよりは安定していますが、8Hz周期で37mV程度のリプルがあります。データシートよりは良い結果と判断できます。(・・で、いいんだよね。)

インダクタ68μH

22μHと100μHの中間ということで実験してみましたが、出力は一番劣った結果となりました。

DSC01193.jpg

しかし、出力波形は、細かなノイズが見えますが、周期的な電圧変動がまったくなく安定した状態です。

DSC01190.jpg

他のインダクタもいろいろとテストしましたが、68μHのインダクタが一番きれいな出力波形でした。

トロイダルインダクタ

大きなトロイダルコアを使ったインダクタも実験してみました。100μHと150μHをテストしましたが、どちらも大差はありません。また、出力電圧の変動もラジアルリードの100μHのインダクタと同じ様な状態です。

DSC01196.jpg

定格電流も抵抗値もラジアルリードタイプよりは、高性能と思いますが、得られた結果は大差なしです。



追加実験

考えるに単3乾電池1本だと内部抵抗の関係で大きな電流が取り出せないので、スペックを満たす出力が得られないんじゃないかと・・

ということで、製作した実験用電源で乾電池のかわりに1.5V程度を入力したらどうなるか追加実験を行いました。

DSC01200.jpg

で、結果は電源でも乾電池でもほぼ同じ出力でした。入力の出力容量?はあんまり関係ないようです。

あと、単3乾電池2本の直列接続(約3V)なら、どうなるかも実験しました。

22μHです。出力電圧が高く表示されていますが、電圧変動幅が大きくなり、一番高くなったところが画像になっているだけです。つまり、400mV近く電圧変動があるようです。

DSC01203.jpg

100μHのときの、40mA負荷と80mA負荷の画像です。単純に換算すると入力電圧が2倍なので出力も2倍程度得られるようです。

DSC01204.jpgDSC01205.jpg

68μHです。負荷40mAで規定の電圧が得られません。

DSC01206.jpg

100μHのトロイダルコアインダクタで、負荷40mAと80mAの画像です。裸耳あるラジアルリードタイプの100μHとまったく同じ結果です。

DSC01207.jpgDSC01208.jpg

最後に、出力の変動が気になるので出力コンデンサの値を大きくしてみました。47μF、100μF、220μF、470μF、1000μFとテストしましたが、100μFから上では電圧変動が若干減少するのが確認できました。とくに、電圧変動が少なかった100μHでは、マルチメータの表示上では気にならない程度まで減少しました。

DSC01209.jpg


まとめ

入力電圧が1.5V程度では、旧型のHT7750と新型のHT7750Aでは、その性能に大きな変化なしということになります。ただ、個体差か環境の問題かもしれませんが、新型HT7750Aの出力電圧の変動が大きいことを考えると、旧型HT7750が使いやすいと思います。

いずれにしろ、インダクタの値や性能(定格電流や抵抗値)が大きなウェイトをしめているようです。インダクタ選択の方向性としては、ラジアルリードタイプでインダクタンスは100μH以下というところでしょうか。定格電流を大きくして抵抗値を下げるためには、太目のリードをコアに巻く必要があるので、おそらく22μHとか33μH、47μH程度が一番良いと思われます。

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