DC-DCコンバーター4(HT7750Aを再テスト)

[公開:any]

[電子工作/実験]
[DC-DCコンバーター,HT7750]

orgin 2008-07-19


HT7750を「PICを使った周波数カウンター」で実際に使用しました。(2008-08-02)

HT7750を「電界強度計の製作」で実際に使用しました。(2008-12-14)


過去、「DC-DCコンバーター」でHOLTEKのHT7750、「DC-DCコンバーター2」で新型のHT7750Aをテストしましたが、ブレッドボードでのいいかげんなテスト環境では、データシートと比較して今ひとつ、パッとしない結果しか得られていません。

そもそも、こういったDC-DCコンバータは、電池1〜2本から昇圧して白色LEDを光らせるぐらいの用途しか思い浮かばなかったのですが、最近、AVRやPICなどのワンチップマイコンの電源として使えば、「便利かなぁ」と思うようになりました。
ポータブルで使用するものは、電池で動かすのが基本ですが、それ以外のちょっとしたツールなんかも電池で動かすといちいち電源線を接続したりしなくてよいのもメリットかなと思います。

実例としては、「AVRを使った超音波距離計の製作」で「DC-DCコンバーター3」でテストしたMAX751を実際に使っています。これは、超音波距離計としての実用性は、疑問ですが、電源が乾電池とDC-DCコンバータで供給されて、(電源の)実用性が十分というギミック??が電子工作熱?を刺激します。^^;

前置きが長くなりましたが、HOLTEKのHT7750A(HT7750も含めて)が実用的に使用できないか追加テストしてみようと思います。

PICやAVRは、もともと消費電力が小さいのですが、周りの付属回路が電力を消費します。特に表示にLCDを使用する場合は問題ないのですが、7セグメントLEDを使用した場合は、ダイナミック点灯を採用しても最大で数10mA(40mA〜70mA)を消費することになります。

これらに耐える出力として5V100mAをDC-DCコンバータの出力目標として、ブレッドボードでテストすることにします。・・・またか!!^^;

インダクタ(コイル)

過去のテスト結果から、出力電流を大きく左右するのは、インダクタ(コイル)だと思っています。(思い込んでいます。)今回のテストに際して、電源用途に使用される大電流対応のインダクタを用意しました。

太陽誘電のLHLC08シリーズです。インダクタンスは、HT7750のデータシートから47μHから100μHを用意すればよいですが、過去のテストで好成績を収めた22μHも同製品で用意しました。

インダクタ

各インダクタのスペックは、
LHLC08 22uH 2.3A 0.068Ω
LHLC08 33uH 1.9A 0.1Ω
LHLC08 47uH 1.5A 0.15Ω
LHLC08 100uH 1.0A 0.32Ω
となっています。インダクタンスを稼ぐためには巻数を増やすので、単純に長い導体が必要となります。また、外形が同じなら巻数に制限が出るので、より細い導体を使うことになります。よって、一般的にインダクタンスが大きなものは、抵抗値が大きく流せる電流が少なくなります。

コンデンサ

今回はコンデンサも取り換えてみます。データシートではタンタルコンデンサが指定されていますが、高価なので入手していません。とりあえず電解コンデンサとして普及品と電源用低ESR電解コンデンサを準備しました。
あと、一般的には、スイッチング電源には、ESRやESLが低いコンデンサが良いと聞きます。ということで、おそらくタンタルコンデンサよりもESRが低い積層セラミックコンデンサも準備しました。積層セラミックは、入力用として10μF、出力用として100μFを用意しました。

電解コンデンサ積層セラミックコンデンサ


テスト環境

テストの回路は、データシートの回路をそのまま使用します。ショットキーバリアダイオードは、前回までと同じもので、秋月電子で購入した1S10を使用します。なお、今回はVFが1S10より多少小さい1S4も試してみましたが、1S10より劣る結果となりました。

DC-DCコンバータテスト回路図

こりずに、ブレッドボードに部品を配置しました。前回のテスト時には、HT7750Aで出力電圧の変動(リプル?)が測定されましたが、今回は、ブレッドボード上の配置をいろいろテストして、一番安定して動作するものが、この画像の状態でした。

DC-DCコンバータブレッドボード接続図

今回のテストでのHT7750Aの出力波形をオシロスコープで見てみました。(ACカップリング)
スパイク上のノイズはありますが、目立つような電圧変動もなく安定した出力が得られています。

HT7750A出力波形

また、入力用の電源として安定化電源を使用し、負荷には電子負荷装置を使用してテスターやマルチメータで各部の電圧や電流を測定する方法としました。

HT7750A実験風景

使用部品の選定

HT7750Aで使用するコンデンサは、出力電圧の比較から
普及品電解コンデンサ<低ESR電解コンデンサ<積層セラミックコンデンサ
の順番となりました。普及品電解コンデンサと低ESR電解コンデンサの差は大きく、低ESR電解コンデンサと積層セラミックコンデンサの差は少なかったです。


HT7750では、積層セラミックコンデンサよりも低ESR電解コンデンサが全般に好成績となりました。ただ、下のグラフからわかりますが、HT7750は入力電圧が2.0V前後から3.0V前まできれいなカーブの出力電圧が得られていません。一部では、出力が下がるところもあり動作に不安が残ります。(データを取り忘れたので)グラフにはありませんが、普及品電解コンデンサは、一番劣っていましたが、あまり差はありませんでした。


結果

HT7750Aでの出力負荷100mA時のテスト結果です。コンデンサには積層セラミックを使用して、インダクタで系列別けしてあります。


僅差ですが、過去の結果と同じ様に、22uHのインダクタが一番良い成績となりました。いずれにしろ、入力電圧が1.5V程度で出力電圧4.75V(定格5.0Vの-5%)が得られる好成績です。

HT7750Aでの出力負荷200mA時のテスト結果です。同じ様にインダクタで系列別けしてあります。


100mA時と同じ様に22uHのインダクタが一番良いと思われます。入力電圧が3.0V程度で出力電圧4.75Vを得ることができます。

変換効率をグラフ化してみました。HT7750とHT7750Aの100mA出力時とHT7750Aの200mA出力時を系列別けしてあります。なお、インダクタは22uH、コンデンサはHT7750Aで積層セラミック、HT7750は低ESR電解コンデンサを使用しています。


出力200mAは、入力電圧が低い状況では、かなり変換効率が悪い結果となりました。安定化電源からの入力供給では問題ありませんが、乾電池からでは容量的に厳しい状況と思われます。

まとめ

HT7750とHT7750Aの過去のテスト結果とは異なった結果が得られました。「電池1〜2本で5V100mA出力」という目的には、十分な性能があると思われます。

過去のテストと異なる条件は、コンデンサやインダクタの性能とブレッドボード上の部品配置もあってちょっと複雑です。しかし、コンデンサやインダクタの選択は方向性が見えました。インダクタは、電源用の大電流対応のものを使用すべきです。コンデンサについては、低ESRのものを使用することが望ましいようです。

安定した動作のためにはブレッドボードという不安定な環境ではなく、ちゃんとした回路を実装することが重要だと思われます。(とはいっても実例を示すことはできませんが。)
ユニバーサル基板に適当に実装しても、リードの長いままブレッドボードに差した回路よりは、安定して動作するような気がします。

過去のテストで、出力リプルが大きいために新型のHT7750Aが先発のHT7750に劣るようなイメージがあったのですが、今回のテストで後発のHT7750Aが性能面で優れていることがはっきりとわかりました。


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