ブリッジタイプのQRP用SWRメーターの製作

 先日、作成したQRP用のSWRメーターでは、使用したパネルメーターの制限で出力が1W以下では正確な測定ができません。そこで、FT-817NDの最低出力の0.5Wでも正常に測定できるものを作ることにします。

 QRP用のSWRメーターはFCZ(現在はキャリブレーション)さんのものが有名です。CM型とブリッジ型の2種類がラインナップされています。CM型は、先日作成したものと同じ構成と思われます。もう一方のブリッジ型は、リターンロスブリッジと同じようにホイートストンブリッジの測定原理を使用したものだと思います。FCZさんの詳細な回路はわかりませんが、Webでよく見かけるSWRブリッジを参考に作ってみました。

 回路図です。SWRブリッジによる測定中は、無線機からの出力は50Ωで終端された状態になるので、そのまま運用することはできません。そこで、3回路のスイッチを使用して
*運用時のスルー
*キャリブレーション(ブリッジの測定端(アンテナ側)を開放)
*SWR表示
の切り替え式とします。ブリッジの抵抗は、マッチングが取れた状態で無線機出力の1/4の耐電力が必要です。10W入力なら2.5Wの抵抗が必要となります。マッチングが取れていない状態であればそれ以上の電力が消費されるので注意が必要です。ただし、測定は短時間なのでシビアに考える必要はないでしょう。

ブリッジタイプQRP-SWRメーター回路図

 切り替えスイッチは、秋月電子の2回路6接点のロータリースイッチを使用しました。このロータリースイッチは、ストッパーで2~6接点を自由に変更できるので3接点に設定しています。ケースは、内部の配線を短くするためには、タカチのMB-1などの小型のケースが良いのですが、ロータリースイッチとパネルメーターが場所をとるので一回り大きなMB-2を使用しています。

 ブリッジ抵抗の51Ω3W酸化金属皮膜抵抗が大きいのでロータリースイッチの端子を利用して立体配線で接続しました。高周波的には問題が多そうです。ロータリースイッチの周りには銅テープを巻いてシールドしていますが、気休め程度だと思います。また、コネクタ間も0.3mmの銅板で接続しました。

ブリッジタイプQRP-SWRメーター内部構造
ブリッジタイプQRP-SWRメーター内部構造

 ダミーロードをつないでFT-817NDでテストすると0.5Wの出力で50MHzまで正常に測定できます。144MHzでは、SWRがやや高く表示されますが、なんとか測定できています。
 感度も十分です。標準信号発生器で最大出力の+10dBm(10mW)を入力してみるとキャリブレーション状態でフルスケールのちょっと手前まで振れるので20mW程度あれば測定できそうです。
 メーターの文字盤を変更していないので、目安となる33ΩのダミーでSWR1.5のめぼしをつけます。リターンロスブリッジやもう1個のSWRメーターでSWRが1.5となる実際のアンテナを測定してみると、ほぼ同じところを示します。

ブリッジタイプQRP-SWRメーター
ブリッジタイプQRP-SWRメーター

 ダミーロードをつないだ測定では50MHzまでメーターの針はほとんど動かず、SWR1.0付近を示します。144MHzでSWRが1.2付近。430MHzでは1.4付近を示します。目安程度にはなりますが、50MHz以上は、正確な測定できないことになります。立体配線による実装に問題があるのでしょう。余計なリアクタンス分の影響がでて、SWRメーター自体が不整合を起こしていることが原因と思われます。(ダミーロード単体でのSWRは430MHzで約1.1です。)