ブレッドボードで50MHz-QRP-AMトランシーバーの実験

最終更新時間:2014年09月27日 20時10分42秒

[公開:any]

[電子工作/アマチュア無線]
[TA7358P,LA1600]

origin 2014-08-27


 テキトーな実験です。

FCZコイルのDIPモジュール化

 ブレッドボードにFCZコイルなど7mm角のコイルを実装するために、14ピンのICソケット(DIP-14p)を使用してきました。高周波的にはあやしい実装ですが、短波帯では同調用コンデンサを適切にしてやれば大きな問題はありませんでした。下の右側は短波ラジオの回路実験です。これで問題なく動作します。ただ、コイルが場所をとるので、ブレッドボード上の配置が難しく数も多くは実装できません。


 秋月電子あたりでDIP化モジュールが出ることを期待しても無駄だと思うので、もうすこしコンパクトな実装方法を検討しました。秋月電子のユニバーサル両面基盤を万能ハサミで3×5列に切り出します。これをやすりで四方を整えれば、7ミリ角コイルとDIPピンが実装できます。DIP-ICより1列広くなりますが、これまでよりはコンパクトです。


 コイルを実装してDIPピンと0.3ミリの錫メッキ線で接続すれば完成です。これまで実験で使用してきたFCZコイルをすべてこの方法でモジュール化しました。

ブレッドボード用コイルアダプタブレッドボード用コイルアダプタ

ブレッドボードで50MHzトランシーバーの実験


 ・・・・・本来は、これで終わりだったのですが、ブレッドボードへのコイルの実装が楽になったので、ブレッドボードでトランシーバーを作ってみます。当然、ブレッドボードでは十分な性能が出ない可能性があります。

 これまでの経験からブレッドボードでの高周波回路は短波帯までなら問題なく動作させることができました。今回は、ちょっと無理してVHF帯である50MHzのトランシーバーに挑戦してみます。
 トランシーバーは、50MHzのAM自作機で有名なフェムト(FEMTO)を参考にします。フェムトの回路は、JP2OMUさんのフェムトVer1.3や、JR8DAGさんのフェムト改を参考にしました。

 フェムトには、コイルが合計12個必要となります。50MHz用のFCZコイルは手持ちが少ないので、キャリブレーションさんで購入したアイテック研究所の互換コイルを使用しました。


 ブレッドボードにVXOを実装します。とりあえず実験状態で実装してみました。最終的には、部品の足を短くして配置を見直す予定です。


 オリジナルのフェムトは同調用にFM用ポリバリコンを使用しています。初めは、同じようにポリバリコンを使用したのですが、周波数調整のために手を近づけるとボディエフェクトにより周波数が変動するのが気になりました。ケースに入れればよいかもしれませんが、実験では調整が大変です。結局、ポリバリコンをあきらめてFM用のバリキャップダイオード(1SV101)を使用しました。バリキャップダイオードは電圧による容量変化なので、ボディエフェクトはまったくありません。また、ポリバリコンでは、周波数可変範囲が200kHz程度だったのですが、バリキャップダイオードを使うと可変範囲を大きくとることができます。ただ、可変範囲をある程度広く取るためには6V以上の電圧が必要となります。


 VXO用のコイルは、FCZコイルのVX2相当が必要になります。7mmのコイルを手巻きしてもよいのですが、1.9MHz用のFCZコイルの手持ちがありましたので、これをそのまま使用しています。この状態で周波数の可変範囲は、1MHz以上確保できます。また、その1MHz以上の範囲は、VXOコイルで調整することが可能です。VXOの出力は、約-10dBmとなりました。


 受信部として、TA7358の周波数変換部とLA1600によるダブルスーパーとLM386によるAFアンプを実装しました。回路はフェムトと同じものです。SSGからAM変調波を入力して受信確認すると-100dBm(9dBμ)程度までは十分な感度で受信できます。受信範囲も50.0MHz〜51.0MHzと十分な帯域を確保できています。FT-817にダミーをつけて送信した音声を受信・復調してみましたが、クリアに受信できます。受信に関しては、ブレッドボードでも問題なく動作しました。


 送信部もフェムトとほぼ同じ回路です。TA7358で周波数変換して、トランジスターで増幅します。ただ、ブレッドボードでフェムトと同じ回路を構成するとスプリアスが多くて使い物になりませんでした。フェムトでは、10.7MHzをトランジスターによる外部発振としていましたが、ここでは、TA7358の局発(8番ピン)を使って発振させることにしました。


 周波数変換後の出力は、-18dBm程度が得られます。なお、この出力をフェムトと同じようにTA7358のアンプ(1番ピンへの入力)で増幅すると、出力は稼げるのですが、スプリアスが増えるのでこのままとします。


 Webによる情報では、フェムトの出力は60から70mW(18dBm前後)なので、同じ出力を得るには、周波数変換の出力-18dBmから36dB近く増幅する必要があります。50MHzと高い周波数なので、3段増幅とします。


 変調回路はフェムトと同じく信号トランスを使ったコレクタ変調です。出力にはT型フィルタを入れました。 マイクをつけて送信したものをFT-817で受信・復調すると、やや音声が歪んでいますが正常に聞こえます。


 送信出力のスペクトラムです。高調波は十分に減衰しています。ただ、弱いながらも基本波付近にいくつかのスプリアスが見えます。送信電力は、30dBのアッテネータを入れているので、17dBm(50mW)となりました。コイルを調整することで、18.5dBm(70mW)まで出力を上げることができますが、近接スプリアスが増えてしまいます。3段増幅に使用するコイルは、FCZコイルを使用しています。アイテック研究所のコイルでは、どうやっても10dBm程度が最大でした。なお、終段のトランジスタをフェムトと同じ2SC2053に変更しても出力に大きな変化はありませんでした。


 同じくスパンを5MHzにして基本波近くのスプリアスを見てみました。一番大きなスプリアスで基本波より-50dB程度小さくはなっていますが目立ちます。おそらくブレッドボードの環境で発生していると思われます。


 ブレッドボードで50MHzのトランシーバーが、なんとか実用になりそうな目処が立ちました。あとは、送受信の切り替えを作れば完成しますが、実験としてはここまでで終了とします。

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