ラジオの製作その3

 「ラジオの製作その2」で作ったイヤホンで聞くラジオとは別に、スピーカ出力のラジオも作ってみます。回路はブレッドボードラジオさんのを参考にして、ラジオ専用ICのミツミ社 LMF501と日本無線(JRC)社のオーディオアンプICのNJM2076Dを利用します。

 LMF501は、末尾にTがつかないタイプです。パッケージの大きさもプリントもこれまでの末尾にTがつくものとは異なっています。ひょっとすると古いものかもしれません。


※こちら「ラジオ専用ICのLMF501Tと同等品の比較」でLMF501Tと比べてみましたが、まったく同じ様に動作しました。(2008-02-18)


 NJM2076Dは、低電圧(1.5V)動作が保障されたオペアンプで外付けPNPトランジスタが2個必要です。トランジスタは手持ちの2SA1015を使用しました。

LMF501T+ICアンプラジオ回路図
LMF501T+ICアンプラジオ回路図

 ブレッドボードラジオさんでは小型のバーアンテナを利用していますが、手持ちの古いバーアンテナを使用することとしてブレットボードでテストを始めました。・・・ところが、どうも放送に同調できません。ポリバリコンはこれまで使用していた最大容量260pFなので、バーアンテナのインダクタンスがずれているような気がします。

 そこで、LCメーターを作成してインダクタンスを測定すると960μHもあることがわかりました。使用するポリバリコンにちょうどいいコイルのインダクタンスは、330μH程度とのことですので、このバーアンテナを加工することにします。

 加工といっても、特別なことではなく、インダクタンスを下げるにはフェライトコアに巻いてあるコイルをほどいて巻き数を減らせばよいのです。

 1/4程度ほどいてみました。LCメーターでインダクタンスを測定すると、430μHと測定できました。インダクタンスは、まだチョッと大きいようですが、なんとか使えそうです。ちなみに、ポリバリコンのキャパシタンスを測定したら6.9pF~279pFとなりました。

 とりあえずブレットボードに仮組みしたラジオにつないでテストするとかなり良好に受信できます。

LMF501T+ICアンプラジオの動作確認

 ただ、ちょっと発振ぎみになるのが気にかかります。いろいろ配置を換えたりすれば、発振は止まりますが、基板化したときに発振するかどうかは、試してみるしかなさそうです。

 ケースはいつものとおり、秋月電子で購入したポリカーボネートの透明ケース小を利用します。このケースはアクリルと違い、加工中にひびが入ったりしません。ただ、以前から秋月電子で売っていたアクリルケースの一番小さいものよりもチョッと小ぶりです。

 スピーカは直径45mmの手持ちで一番小さいもの使います。でも、このスピーカは磁石の部分が大きく直径32mmもあります。これに、16φの可変抵抗とポリバリコン、バーアンテナ、単3電池ボックスをケースに仮実装してみます。

 かなりきわどい状況です。実装できる基板の大きさを実測すると23mm×38mmの基板サイズになります。2.54mmピッチの基板だと、穴の数が7×13となります。以前なら、行き当たりばったりでいきなり部品の半田付けをはじめていましたが、最近は、pcbeを使って配置を事前に検討します。

LMF501T+ICアンプラジオ基板パターン
LMF501T+ICアンプラジオ基板パターン

 ジャンパーが数箇所必要ですが、なんとかすべての部品が配置できそうです。ということで、基板を必要な大きさにカットします。

製作
 なんとか基板上に実装できました。各部品は接触した状態ですが、事前に設計したとおり無理な配置はありません。

LMF501T+ICアンプラジオ基板
LMF501T+ICアンプラジオ基板
LMF501T+ICアンプラジオ基板
LMF501T+ICアンプラジオ基板

 数箇所、変な形のジャンパーが必要でしたがこのサイズなら仕方ないと思います。異常な発振が出なければ良いですが・・・。

 すべてのパーツをケース内に納めてみます。基板の縁が大きめなのでスピーカの磁石と接触するので基板をやすりで少し削ったりして調整します。インダクタンスを調整したバーアンテナが大きくて実装できないため、急遽、BA-200という小型のバーアンテナに変更しました。

 ケースのふたのスピーカ部分は、音が抜けるように穴あけをします。ごみが入らぬように小さめの穴を開けます。不要なユニバーサル基板をガイドとして穴を開けます。

 完成しました。スピーカの固定は、専用金具がなかったので、チョッと見苦しいですが、ホットボンドで固めてしまいました。電池ケースとスイッチ以外をケースのふたに固定するという、”ヘンテコ”な構造です。

 ドキドキしながら電池を入れて、受信してみましたが、異常な発振など無く、非常にクリアに受信できます。これまでのラジオと比較しても感度もよく、スピーカからは大きな音がします。ボリュウムを最大付近まであげると音が割れますが、通常はこんな大きな音でラジオを聞くことは無いでしょう。

LMF501T+ICアンプラジオ
LMF501T+ICアンプラジオ

 消費電流は、28~35mAほどです。(通常のボリュウム位置で)
 以前、アルカリ乾電池を100mAで放電させたときに、放電休止電圧0.9Vまで20時間程度かかったので、2~3倍の40~60時間は連続動作すると思います。(試す気はありませんけど)