広帯域高周波リニアアンプの製作

 前回作成した広帯域高周波アンプの出力は最大20dBm(100mW)程度なので、今後の実験などで使えるようにさらに出力の大きなリニアアンプを作ります。デバイスは、三菱の高周波増幅用FETのRD06HVF1を使用します。回路図は、50MHzAMトランシーバーの作成で利用させていただいたJA2NKDさんのサイトで紹介されているものに入力アッテネーターを加えただけです。

RD06HVF1 RFリニアアンプ回路図
RD06HVF1 linear amplifier

 基板はPCBEでパターンを作ってCNCフライス盤で加工しました。今回は0.8mmのエンドミルで加工してみましたが、エッジが荒れてしまいます。エンドミルの回転数や移動速度が最適化できていないせいでしょうか。

RD06HVF1 RFリニアアンプ基板パターン
RD06HVF1 RFリニアアンプ基板パターン
CNCフライス盤で作成したRD06HVF1 RFリニアアンプ基板

 コンパクトな基板なのでタカチのケース(MB5-4-7)に収まります。ヒートシンクはパソコンのCPU用を転用しています。このケースのサイズにちょうどいい感じです。

RD06HVF1 RFリニアアンプ内部
RD06HVF1 linear amplifier
RD06HVF1 RFリニアアンプ外観
RD06HVF1 RFリニアアンプ外観

 電源電圧12Vで10MHzの12dBm入力時に5Wの出力が得られました。15dBm以上を入力しても出力が飽和します。その時の最大電力は9W弱となりました。なお、アイドリング電流はデータシート通りの300mAとしています。

RD06HVF1 RFリニアアンプ利得測定
RD06HVF1 RFリニアアンプ利得測定
RD06HVF1 RFリニアアンプ利得測定
RD06HVF1 RFリニアアンプ利得測定

 スペアナで200MHzまでの周波数特性を見てみました。HF帯は25dB前後の利得があります。50MHzで23dB、144MHzでも18dBの利得があります。10MHzのシングルトーンで入力対出力特性を見てみました。リニアな領域はおおむね入力11dBm、出力36dBm(4W)までとなります。この時の電流は500mA程度なので効率67%となります。連続動作でも発熱も少なくヒートシンクも50℃以上にはなりません。(室温20℃)

RD06HVF1 RFリニアアンプ利得測定
RD06HVF1 RFリニアアンプ入出力特性グラフ

 RFツートーンジェネレーター → ステップアッテネーター → 広帯域高周波アンプ → 今回の広帯域高周波リニアアンプ → 20dBカップラー → ステップアッテネーター → スペアナでIMD特性を見てみました。IM3で-30dBc以上を確保できるのは、入力が4.5dBm(黄色のトレース)まででした。このときの出力は30dBm。ピークパワーに換算すると6dB加えて36dBm(4W)となるのでシングルトーンのリニアな領域と同じです。

RD06HVF1 RFリニアアンプ測定風景
RD06HVF1 RFリニアアンプ IMD

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