自作LCメーターでの測定について

 LPFに使用するインダクタをトロイダルコアを使用して作ることがあります。作ったものは必ずLCメーターで確認することにしています。サイトを見た方から、このLCメーターの精度について、何度か質問を受けることがありました。その都度、アマチュア(って言っても高度なアマチュアではありません。私のレベルと理解願います)が電子工作するレベルなら問題ないと回答していますが、実際のところどうでしょうか。

自作LCメーターでのインダクタンス測定

 測器の精度評価は、校正(較正)された測定器があれば比較検証することで可能となりますが、そんなものは手元にありません。とりあえず、他の方法で測定した値と比較してみます。APB-3は、リターンロスブリッジを使用するインピーダンスアナライザ機能があるので、それで比較します。リターンロスブリッジにつなぐ治具を作りました。なお、LCメーターもAPB-3も、測定端となる治具(どちらもミノムシクリップ)までを含めてキャリブレーションを行ってから測定します。

リターンロスブリッジと測定治具
リターンロスブリッジで測定

 トロイダルコアT25-10で作ったインダクタです。LCメーターで0.22uH、APB-3で0.222uHと近似します。APB-3による測定では、インダクタンスが周波数により変化するので、LCメーターでの測定周波数(共振周波数)に近いところで値を見ています。

LCメーターでインダクタンス測定

 Aitendoの可変インダクタです。LCメーターで0.56uH、APB-3で0.559uHと近似します。

LCメーターでインダクタンス測定

 トロイダルコアT30-2で作ったインダクタです。LCメーターで3.25uH、APB-3で3.248uHと近似します。

LCメーターでインダクタンス測定

 電源に使用する100uHのパワーインダクタです。LCメーターで97.69uH、APB-3で96.51uHと1uH程度の誤差があります。

LCメーターでインダクタンス測定

 キャパシタンス測定も比較してみました。150pFのセラミックコンデンサーです。LCメーターで154.3pF、APB-3で154.33pFと近似します。

LCメーターでキャパシタンス測定

 大量(1000個)に持っている0.01uFのムラタのセラミックコンデンサーです。LCメーターで8057pF、APB-3で8065pFと近似します。APB-3では、コンデンサの共振周波数がわかります。

LCメーターでキャパシタンス測定

 0.1uFの積層セラミックコンデンサーです。LCメーターで0.0946uF、APB-3で0.09294uFとやや差があります。

LCメーターでキャパシタンス測定

 トランジスタやFETのチェッカーとして利用しているLCR-TC1です。アマゾンで3000円程度で購入できます。これもインダクタンスの測定ができるのですが、測定できる最小単位が0.01mH(10uH)までなので、アマチュア無線のLPF製作に必要な1uH前後のインダクタンスの測定には不向きです。3.25uH程度のインダクタは単なる抵抗として識別されます。100uHなら問題なく測定可能です。

マルチファンクションテスターでのインダクタンス測定
マルチファンクションテスターでのインダクタンス測定

 トロイダルコアT37-2で作ったインダクタです。LCメーターで4.89uHとなりますが、なぜか最小値の10uHとなりました。

マルチファンクションテスターでのインダクタンス測定

 インダクタンスも大きな値であれば、LCメーターやAPB-3と同じような測定結果を得ることができます。

マルチファンクションテスターでのインダクタンス測定

 なお、LCR-TC1は、コンデンサの測定についてはLCメーターやAPB-3と同じような値を測定できます。

マルチファンクションテスターでのキャパシタンス測定

 自作したLCメーターによるインダクタンスやキャパシタンスの測定値は、APB-3での測定値と近似することがわかりました。ここに掲載したもの以外にも比較していますが、インダクタンスが100uH以下、キャパシタンスが0.01uF以下ならほとんど差は見られませんでした。これをもってLCメーターの測定精度を評価することはできませんが、自分で使う際の安心材料にはなりました。