1.9MHz用のマイクロバートアンテナの製作

 コロナ禍なので外出を控えています。時間があるのでアンテナ製作が楽しめます。

 1.9MHzのFT8をワッチしているとかなり多くの局がQRVしていることに驚きます。法改正でCW以外もオンエアできることが大きな要因ですね。ATU+デルタループアンテナでQRVしていますが飛びません。ここは専用アンテナを・・・ということでマイクロバートアンテナを作ってみました。

 ラジエターエレメント用のアルミパイプを通販で購入しました。1400mmのものを6本です。アルミパイプは全部で4000円ほどですが送料が2000円近くかかります。できるだけ長い方が良いだろうと6段接続で7m超を予定していました。アルミパイプの太さは計算上きっちりとはまるサイズで購入しました(Φ25mm肉厚1.5mmー>Φ22mm肉厚1.5ー>Φ19mm・・・)。しかし、価格の安い押し出し成型のアルミパイプは外径や肉厚の公差が大きくそのままでは差し込むことができません。そこで、電動ドリルでアルミパイプを回す治具を作成してアルミパイプの接続部分を紙やすりで削りました。ぴったりとはまるように調整してがたつきのないラジエターエレメントを作りました。

1.9MHzマイクロバートアンテナ用に購入したアルミパイプ
購入したアルミパイプ
アルミパイプの接続
アルミパイプの接続

 アルミパイプの生地材が(A6063)というやわらかい素材なので加工は簡単ですが強度がありません。6段つないで7mを超えると持ち上げるときにかなりしなって危険な感じです。垂直に立てるとイケそうな感じはしますが強風に耐えられるか心配です。予定を変更して5段の約6mとします。

アルミパイプ6段で7m超のエレメント
アルミパイプ6段で7m超のエレメント

 RFチョークは、使用していない3.5MHzマイクロバートアンテナ用のものがありますが、1.9MHzで100W送信時のコアの熱損を考えて新たに用意します。ネットではFT240-43の2段を多く見かけるので、この構成を採用しました。1.5D-2VをW1JR巻で20ターンとしました。防水ケースは塩ビパイプのVU65を使いました。

FT240-43 フェライトコア
FT240-43 フェライトコア
マイクロバートアンテナ用チョークコイルを塩ビパイプケースに収容
塩ビパイプケースに収容

 LCメーターで測定するとインダクタンスは840μHとなりました。1.9MHzでも10kΩ以上のリアクタンスが得られます。スペアナでの減衰特性を見ると1.9MHzで40dB以上と十分です。

チョークコイルのインダクタンス測定
チョークコイルのインダクタンス測定
チョークコイルの減衰特性
チョークコイルの減衰特性

 共振コイルは塩ビパイプVU40に1.0mmのUEWを巻きました。購入した10m巻をすべて巻いて104μHとなりました。計算では110~120μHが必要になるので半田でつないで127μHまで増やしました。途中は2ターン毎にタップを取って調整できるようにしました。(この作業はまったく無駄になるのですが・・・)

マイクロバートアンテナのコイル
マイクロバートアンテナのコイル
マイクロバートアンテナのコイル
マイクロバートアンテナのコイル

 ラジエターのアルミパイプは基部径Φ25mmなので塩ビパイプVP25にきっちり入ります。アルミパイプと塩ビパイプの抜け止めにM5のボルトで固定しました。アルミ製マストパイプ(古い八木アンテナの解体部品)にラジエターを絶縁状態で固定しました。ラジエター最下部には共振コイルを接続しました。

マイクロバートアンテナ給電部
マイクロバートアンテナ給電部

 カウンターポイズとなる同軸は3D-2Vを31.6mとしました。アンテナを仮設して調整を行うと同調周波数は1.7MHz付近とかなり低くなりました。共振コイルのタップを最小の104μHとしても1.8MHzよりも若干低い周波数で同調します。コイルをほどきながら調整して最終的には共振コイルは88μHまで減らすことで目標周波数の1.84MHz付近で同調させることができました。計算とのズレが大きくなったのは、ラジエターとマストパイプが容量性結合しているためと思われます。

マイクロバートアンテナSWR
マイクロバートアンテナSWR
マイクロバートアンテナのコイルの防水処理
マイクロバートアンテナのコイルの防水処理

 アンテナは、太陽熱温水器のラックに固定しました。この場所は、建造物よりも1段高いところにあるので、建物の影響は少なくなります。ラックは金属(H鋼)で出来ており基礎が地中に埋まっています。このラックとマストパイプを金属金具で接合して電気的に導通させると同調周波数が100KHzほど下にズレる現象が発生しました。ラジエターとマストパイプが容量性結合しており、ラックと電気的に導通することで影響を受けていると思われます。マストパイプの固定部分にポリカーボネート板を巻いて絶縁すると仮設時に調整した周波数で同調しました。

マイクロバートアンテナの取付
マイクロバートアンテナの取付
マイクロバートアンテナの全景
マイクロバートアンテナの全景

 スペアナでリターンロスを見てみました。1.9MHz帯以外に同調はありません。中心周波数は1.84MHzでSWRが1.5以下は40KHz程度確保できています。CWとSSBも問題なく運用できます。

1.9MHzマイクロバートアンテナのリターンロス(広帯域)
1.9MHzマイクロバートアンテナのリターンロス(広域)
1.9MHzマイクロバートアンテナのリターンロス(狭帯域)
1.9MHzマイクロバートアンテナのリターンロス

 ATU+デルタループでは国内QSOが相手に助けられてギリギリの状態でしたが、なんとか交信できるようになりました。夕方は受信のSNRだけならデルタループのほうが良い結果が得られます。おそらくデルタループを1.9MHzで無理やり使うと打ち上げ角が高くなってノイズが少ないことが要因と思われます。夜になるとマイクロバートアンテナのほうが受信も含めて明らかに良くなります。
 今夜はQRVしている局が少ないなぁ・・・とワッチしていると、いきなり多くの国内局が一斉にDX局をコールすることにびびります。皆さん、しっかりとワッチされているようです。残念ながら大勢がコールしているDX局は私にはまったく見えていません。(ウォーターフォールでそれっぽいノイズさえ見えない。)

1.9MHzマイクロバートアンテナでFT8

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