DDSを使ったスイープジェネレーターの製作

 これまで
  AD9834を使ったスイープジェネレータの実験
  AD9834を使ったスイープジェネレータの実験その2
で実験をしてきましたが、いつまでもブレッドボードのままにしておくわけにもいきません。ログアンプのAD8307を内蔵してFRMSのような完成された計測器にするか悩んだのですが、とりあえずスペアナやオシロスコープと組み合わせて使用できるスイープジェネレータとして製作します。

 DDSを搭載した信号ユニットの回路図です。FRMSの回路図を参考にしました。AD9834の信号出力はカットオフ22MHzのLPFを通して高速オペアンプで増幅します。出力の信号レベルは0dBm程度とします。
 高速オペアンプは、FRMSと同じLM6365を使用します。LM6365は高価なオペアンプで入手性に難があります。今回は、秋月電子でからSOPをDIPモジュール化したものを入手しました。なお、LM6365は、増幅率25倍以下で使用する場合は、高周波ノイズ利得を確保するようにデータシートに示されていますが、出力を注意深く見ても変化がないようなので省略しました。

AD9834シグナルジェネレーター回路図
AD9834シグナルジェネレーター回路図

 高周波を扱うので部品面が全面アースの基板を使用しました。どこでもアースに落とせるので高密度実装が可能となります。無理して詰め込みましたが、本来は余裕をもって作るほうが安心です。LPFのインダクタはトロイダルコアのT30-6を使用しています。

AD9834シグナルジェネレーター基板
AD9834シグナルジェネレーター基板

 AVRによる制御ユニットはブレッドボードのままとして、完成した信号ユニットの動作確認をしました。当然、ブレッドボードでの実験時より安定して動作します。
 オペアンプなどで増幅すると当然ながら、スプリアスが発生します。高調波がもっとも大きくなる周波数で、2次高調波が基本波から-30dbm程度でした。これが大きいか小さいかがよくわかりませんが、セラミックフィルター等の狭帯域測定では、影響は少ないと思われます。FRMSは選択度のないログアンプで受信しているのでスプリアスの影響を大きく受けると思います。FRMSのスプリアスがどの程度なのか、ちょっと気になります。

 制御ユニットの回路図です。スイッチは4個としました。シングルモードとスイープモードのモード切り替えスイッチ、出力のオン・オフスイッチ、あとの2個が周波数ステップのアップ・ダウンスイッチとなります。

 制御ユニットは部品数が少ないので余裕があります。トランスを使用した電源を使用する予定なので、ダイオードブリッジや信号ユニット用の9VとAVRに必要な5Vの3端子レギュレータを実装します。

 信号ユニットと制御ユニットを接続してバラックで動作確認します。

 ケースは、タカチのYM-250です。小さな基板2枚なのでかなり余裕があります。

AD9834スイープジェネレーター
AD9834スイープジェネレーター

 GigaStやMAX038を使用した信号発生器とスタックします。一番上が今回製作したスイープジェネレーターです。

 AD8307を使った電界強度計でダイナミックレンジを見てみると、60dB程度となりました。FRMSはうまく作れば70dB以上は確保できるようなので、性能的にはいまひとつです。ただ、FRMSは出力が+10dBm程度なので下はあまり変わらないと思われます。

 スペアナのMAXホールドでFMラジオ用10.7MHzセラミックフィルタとAMラジオ用455KHzセラミックフィルタの特性を測定してみました。時間はかかりますが、問題なく測定できます。

 ログアンプのAD8307を使用してフィルタの特性をオシロスコープで見てみます。ブレッドボード上に仮組状態での測定なのでいい加減ですが結構使えそうです。

 AD8307は25mv/dBで信号強度を電圧変換します。オシロの測定電圧から信号強度を正確に計算できます。オシロの表示を250mv/DIVとして10dB/DIVとすれば、視覚的にも見やすくなります。スイープタイムの逆算で帯域幅も計算できます。上の直線は、スルー時のレベルです。

 AVRのソフトウェアは、前回の実験から基本的に変わっていません。ただ、操作インターフェースの部分はかなり変更して使いやすくしました。

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