IRF530を使ったHFリニアアンプキットの試作

 アマゾンで見かけるHFリニアアンプキットを試してみました。28MHz-QRP-AMトランシーバーで利用できるかどうかを評価します。このキットは、終段にMOSFETのIRF530を使用したもので、MINIPA 70と書かれているものもあり、2600~3000円程度で同じようなキットが数多く出品されています。注文すると翌日に中国からの発送連絡があり、その後、3週間で届きました。
 キットは、専用の基板と部品が入っているだけで部品リストも回路図もありません。この辺はネットで調べた事前の情報と同じです。基板にはあらかじめチップ部品が取り付けられているので、自分で取り付ける部品は多くありません。

IRF530 HFリニアアンプキット minipa70
minipa70 linear amplifier

 切り離したコイル用の基板を使って入出力トランスを作ります。フェライトコアとそれに適合した真鍮製と思われるパイプも入っているので簡単に作成できます。入力は4:1(2T:1T)、出力は1:9(1T:3T)です。あとは電源用の電解コンデンサとRFC、IRF530を取り付けて完成としました。リレーやらコネクタは後で考えます。また、NFBの抵抗も取り付けません。

IRF530 HFリニアアンプキット minipa70
IRF530 HFリニアアンプキット minipa70

 周波数は28MHzで、電源電圧を13.8V、15.0V、18.0Vとして入出力特性を測定しました。入力はFT-817からの出力です(以下すべて共通)。電源電圧による特性の違いは少なく、おおむね43dBm(20W)まで直線性があります。各バンド毎の出力を確認していると信号入力を止めても電流が流れ続けることが多くあります。寄生発振でしょうか。特に18MHz以下では挙動が怪しいです。NFBをかければ安定するかもしれません。とりあえずそのまま電源電圧を15.0Vとして測定していたところ、片側のMOSFETが飛んでしまいました。

IRF530 HFリニアアンプキット入出力特性グラフ
IRF530 HFリニアアンプキット バンド別出力一覧表

※測定値には高調波が含まれています。LPFを通すとこの値の4~7割程度の出力となります。

 キットに入っていたIRF530は、パッケージの印字型番がIRF530Nとなっており、IORの表示があることからinfineon(International Rectifier)製のものです。手持ちにはVishay製のIRF530があります。同じものだろうと交換してみましたが、出力特性が異なりパワーが出ません(上のグラフの灰色線)。データシートを見比べてみるとスペック上に大きな差はありません。性能的にはVishay製が良さそうに見えます。入出力のインピーダンスマッチングに問題があるのかとトランスのターン数や電源電圧を色々と試してみましたが解決しません。仕方ないので、infineon製を探して購入しました(単価66円でVishay製よりも安価)。infineon製は、問題なくパワーが出ます。

IRF530 HFリニアアンプキット minipa70
IRF530 HFリニアアンプキット
IRF530とIRF530N
IRF530とIRF530N

 電源電圧15.0V時の入力のリターンロスを測定してみると低い周波数はSWRがやや高くなっています。スプリアスを確認してみると、プッシュプルなので奇数次の高調波が大きくなっています。ただ、これらはLPFで減衰できるので問題ないはずです。一方、基本波よりも下に細かなスプリアスが見えます。これらはリニアアンプや電源ではなく、FT-817本体からのスプリアスでした。

IRF530 HFリニアアンプキット

 電源電圧15.0V以上は、DCーDCコンバーターモジュールを使用しています。スイッチングノイズが大きいためスプリアスとなります。フェライトコアのFT140-43でチョークコイルを作って入れてみました。だいぶ良くはなりましたが、電波法上は微妙なところです。別のチョークコイルを試してみる必要がありそうです。

IRF530 HFリニアアンプキット

 28MHzでは、電源電圧にかかわらず安定してパワーが出ます。寄生発振もありません。AMで定格10Wとすると4倍の40Wまではリニアに増幅する必要があります。15.0Vで使用するのが確実ですが、多少のひずみに目をつぶれば13.8Vでも問題なさそうです。

IRF530 HFリニアアンプキット
IRF530 HFリニアアンプキット

 キットに付いていた抵抗100ΩでNFB(負帰還)をかけてみました。入力のリターンロスは低い周波数帯が改善しています。出力も低い周波数帯で大きくなりました。高い周波数帯でNFBによる出力の低下は見られません。また、一部周波数で見られた寄生発振らしきものもありません。マルチバンドのリニアアンプとして使用するなら取り付けた方が入力信号の管理が楽になるでしょう。

IRF530 HFリニアアンプキット NFBリターンロス
IRF530 HFリニアアンプキット NFB入力リターンロス
RF530 HFリニアアンプキット NFB バンド別出力
RF530 HFリニアアンプキット NFB バンド別出力

※測定値には高調波が含まれています。LPFを通すとこの値の4~7割程度の出力となります。

 このHFリニアアンプキットは、専用基板と入出力トランスの作りやすさを考えるとかなりお得なキットだと思います。28MHzを除けば、電源電圧13.8Vで50WまでのQROが簡単に実現できます。あとはこれに入力アッテネーター(親機の出力に合わせて)と使用するバンド毎のLPFを組み合わせればそのまま申請して使うことができそうです。
 

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