si5351a-VFOを使用した7MHz-QRP-CWトランシーバーの製作

最終更新時間:2021年08月29日 14時16分20秒

[公開:any]

[電子工作/アマチュア無線]
[電子工作/PIC]
[PIC,PIC16F18326,si5351a]

origin 2021-08-29


 si5351aをVFOとした7MHz-QPR-CWトランシーバーを作りました。以前もこちらで作っていますが、今回はVFOと電源の3端子レギュレーターを除いて、すべてのトランジスターを2SC1815(セカンドソースのBLランク)のみとしました。(そもそも、2SC1815を買い足そうと秋月電子で100円の2袋買ったら20個入りだったので40個になってしまったから思い立ちました。しかもGRランクのつもりでBLランクを買ってるし・・・)

2SC1815-7MHz-QPR-トランシーバー回路図

 VFOのsi5351aはPICで制御します。PICは16F18326を使用しました。14ピンとコンパクトですが、メモリが16KByteもあるのでコーディングは楽です。表示は0.96インチのOLEDモジュールです。SメーターもOLEDで表示です。Sメーターのライン表示は、書き換え速度が必要なので1ライン飛ばしで描画しますがいい感じで動作します。電鍵のKey入力はPICで読み取りします。サイドトーンもPWMで生成します。


 5cm角のベタ基板にランド方式でブロックごとに作成しました。まず初めにRFアンプを2SC1815で作りました。信号発生器から-80dBmを入力すると-60dBmの出力が得られました。利得が20dBもあります。嫌な予感です。


 周波数変換は、2SC1815のベースに局発入力としました。VFOの出力が0dBm程度と大きいのでエミッタ入力でも問題なく動作しましたが、ベース入力のほうがやや大きな変換出力が得られました。IF信号は-47dBmとなりました。(スペアナ画像は外部に10dBのアッテネータが入れあります)


 IFフィルターはクリスタル3個の簡易タイプです。通過帯域は800Hzとしましたが3素子なので切れは期待できません。インピーダンスマッチングなしでIF信号は約-51dBm(外部アッテネーター10dB)となりました。


 IFアンプは2SC1815で2段とします。1段目はAGCをかける予定です。IF2段のアンプはトランジスターで普通に作るとほぼ確実に発振します。2段目は中和を取って発振を防ぎます。出力は-9dBm(外部アッテネーター10dB)となりました。IFフィルター出口からの利得が40dBあります。すこし抑えた方が良いのですがこのままとします。


 検波回路はダイオードによるリング検波です。BFOを加えてAFを取り出し2SC1815のAFプリアンプ出力をイヤホンで聞いてみると結構な音量で聞こえます。試しにアンテナを繋いで実際に受信してみると見事に発振しています。IFアンプを離調させてゲインを落として発信を止めてみると混変調もあります。あれこれやっても発振を止めることができないので検波段の前までを実装配置を少し変更してもう一度作り直しました。利得もやや落とし気味にしました。IFアンプの出力が-15dBmとなりました。
 AFパワーアンプも2SC1815で普通のトランス式A級増幅回路です。プッシュプルも考えましたが、音量的にはこれで十分でした。


 送信は、si5351aの出力を直接増幅します。2SC1815のドライバーで利得調整を行い、終段はJR3KBUさんのサイトを参考に2SC1815の2パラレルのプッシュプルとしました。CWなのでバイアスなしのC級動作です。電源12Vで最大30dBm(1W)の出力が得られました。ただし、300mA以上流れるので2SC1815はかなり発熱して10秒程度でパワーダウンします。トランジスターの特性の微妙なバラツキなのか4個が同じように発熱するのではなく、特定のトランジスターが発熱します。小さな銅板などを放熱テープで固定すれば連続もいけそうですが、とりあえずパワーを絞ります。ドライバで利得を調整して出力27dBm(500mW)にすると160〜170mAとなり連続キーダウンも30秒程度は問題ありません。


 C級増幅の盛大なスプリアスを除去するため7次のLPFを入れました。下左は800mW(29dBm)出力時のスプリアスです。第2高調波が落とし切れていませんが、基本波から-50dB以下で50μW以下なので電波法的には問題ありません。下右はAPB-3で狭帯域で確認しましたが特にスプリアスは見られません。(いずれも外部30dBアッテネーター)


 ケースは100円均一で買ってきたポリプロピレン製の小物入れです。中に仕切りが無いタイプです。中が透けて見えるのでOLEDの表示部を加工する必要がありません。加工性は良いのですが、穴の周りにバリが出るのできれいには仕上がりません。ベタ基板を両面テープで固定して、その他ねじ止め等で固定します。


 Sメーターは信号発生器から信号を入力して感度を調整してもPICのAD変換がリニアなので違和感があります。真面目に対数計算すればよいのですが、目安になればいいのでこのままとします。注意すべきは、3.3V動作のAD変換にそれ以上の電圧を加えないようにしなければなりません。Sメーター回路は最大でも2V程度の出力なのでとりあえずそのまま接続しています。AGCも付けたのですが、いまいち効果が感じられません。抵抗値を変更するなど色々と試したのですが、2SC1815(しかもBLランク)ではあまり効果が無いのかもしれません。


 前回作成した50MHzAMトランシーバーと同じシリーズとなりました。実際に週末の7MHzをワッチしてみると感度は十分です。フィルターが緩いので昔の無線機で聞いたようなにぎやかさです。2SC1815の14石トランシーバーは実用性は十分です。VFO(VCOまたはVXO)と電源部を2SC1815で作ると完全な2SC1815トランシーバーとなります。


 


 PICのプログラムです。コンパイラはXCコンパイラ1.45を使用しています。

  • メインルーチン main.c(274)
  • PIC16F用I2C制御ヘッダファイル pic16f_i2c.h(172)
  • PIC16F用I2C制御プログラム pic16f_i2c.c(220)
  • OLEDディスプレイ表示(SSD1306)ヘッダファイル oled.h(177) 
  • OLEDディスプレイ表示(SSD1306)描画プログラム oled.c(178)
  • OLED用フォント(12x24) font12x24.h(142)
  • OLED用フォント(7x16) font7x16.h(140)
  • OLED用フォント(5x8) font5x8.h(151)
  • si5351aヘッダプログラム si5351a.h(189)
  • si5351a制御プログラム si5351a.c(207)

 


 以下の諸元により変更申請を実施して免許を受けました。これでオンエアできます。

7MHzQRP-CWトランシーバー送信機系統図

このテンプレートをデザインした者がへたれなので IE6 には非対応です。IE7FirefoxSafariOperaChrome など、モダンなブラウザを利用して下さい。


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