固定アッテネータの製作

 スペアナ・アダプターGigaSt v5で使用するために「ステップアッテネータの製作」でアッテネータを作りましたが使用できる周波数の上限が500~700MHz程度までとなりました。1GHzを超える帯域を持つ最近の広帯域プリアンプの測定に利用するには役不足です。とりあえず、GigaStを組み立てたときに「テキトー」に作成した10dBの固定アッテネータを使用していますが、周波数特性が細かく波打っていていることが気になっています。金属皮膜チップ抵抗も入手できたので、基板を使ってしっかりとしたものを作りなおして特性の改善を図りたいと思います。ついでに減衰量20dBの固定アッテネータも追加製作します。

 基板は、PPテープを使ったエッチングで10dB用と20dB用の2枚を作成しました。基板は、使用するケース(タカチMB-1S)とコネクタの実測サイズから割り出したサイズです。

PPテープエッチング
PPテープエッチング
固定アッテネーター基板
固定アッテネーター基板

 ケース内は、コネクタの中心導体に基板を半田付けして固定する方法としました。また、アースを強化するためにコネクタと基板間を0.3mmの銅版で接続してあります。

固定アッテネーター内部

 GigaStで周波数特性を確認してみました。以前の普通のリード抵抗を使ったものと比較すると細かな減衰量の変動はなくなりましたが、特性的に大きな変化は見られません。1GHz以下では減衰量が少なめで1.5GHzを超えると減衰量が増えていきます。厳密な測定をしなければ2GHz程度までは使えそうです。基板化とチップ部品使用で、もう少し特性が改善すると思いましたが残念な結果です。

 続けて20dBのアッテネータも作成しました。基板上のチップ抵抗の配置やケース内での基板の固定方法は10dBとまったく同じにしました。

固定アッテネーター

 GigaStで周波特性を確認すると、500MHzを超えるあたりから減衰量が増大しています。10dBのアッテネータと比較すると、かなり劣った性能しか得られません。ステップアッテネータの特性と同じく、減衰量が大きくなると安定した性能を得ることが難しくなるようです。

 実装方法に問題があると判断して、並列挿入されている62Ωの抵抗を120Ωの抵抗2本に変更して、並列接続するように変更しました。

固定アッテネーター

 GigaStで周波数特性を測定すると、今度は2GHzまで安定した減衰量が得られます。(1GHzあたりの段差はGigaStのTGの出力特性の影響だと思います。)

 とりあえず完成ですが、10dBのアッテネータも100Ωの抵抗を200Ω2本に変更して、並列接続すると特性が改善する可能性があります。 いずれにしても使用部品よりも実装技術などが性能を左右すると思われます。(部品はお金で買えても技術は買えないなぁ・・・^^;)

固定アッテネーター

 スペアナ(RIGOL DSA815-TG)で測定しなおしました。黄色のトレースが10dB単体、紫色のトレースが20dB単体、水色のトレースは10dB+20dBの計30dBです。250MHz以上で接続に使用した同軸ケーブルの影響でやや変動がありますが500MHzまでは問題なく利用できます。

固定アッテネーター減衰特性