NanoVNA-H4とスペアナの比較

 いまさらですが、NanoVNAを購入しました。NanoVNA-H4というLCDが4インチのタイプです。スペアナのRigol DSA815-TGと各種測定を行って比較してみました。スペアナは、ネットワークアナライザーではありませんが、トラッキングジェネレーターを使った測定との比較となります。

 まず、NanoVNAのS11測定によるアンテナのSWR測定比較です。スペアナは、自作したリターンロスブリッジを使って測定します。
 自作した1.8MHzのマイクロバートアンテナです。NanoVNAでは1.815MHzで1.086となりました。スペアナでは、1.818MHzでリターンロス-28.7dBなのでSWR1.08です。大きな誤差はありません。

NanoVNA 1.8MHzマイクロバートアンテナSWR
1.8MHzマイクロバートアンテナのリターンロス

 自作した3.5MHzと7MHzの2バンドダイポールアンテナです。3.5MHzではNanoVNAで3.55MHzでSWR1.243となりました。スペアナでは、3.55MHzでリターンロス-19.5dBなのでSWR1.24です。誤差はありません。

2バンドダイポールアンテナ 3.5MHzリターンロス

 同じダイポールアンテナで7MHzでは、NanoVNAで7.035MHzでSWR1.020となりました。スペアナでは7.036MHzでリターンロス-37.5dBなのでSWR1.02となり誤差はありません。

2バンドダイポールアンテナ 7MHzリターンロス

 自作した50MHzのV型ダイポールアンテナです。NanoVNAでは、50.30MHzでSWR1.01となりました。スペアナでは、50.45MHzでリターンロス-40.1dBなのでSWR1.02となり誤差は小さいです。

50MHzV型ダイポールアンテナ リターンロス

 また、いずれの測定でもSWR1.5以下の範囲も大きな差は見られず、双方とも同じような測定結果となりました。


 次にNanoVNAのS21測定を試してみます。リニアアンプの試作に使っている32MHzのLPFの特性を測定しました。NanoVNAでは、28MHzで-0.51dB、56MHzで-51dBの減衰となりました。スペアナでは、28MHzで-0.62dB、56MHzでは-50dBの減衰となり、減衰特性に大きな差異はみられません。なお、ダイナミックレンジはNanoVNAが広く見えますが、スペアナもRBWを絞れば70dB以上となり、大きな差はありません。

NanoVNAでLPF測定
32MHzLPF

 同じく50MHzのLPFの特性です。NanoVNAでは、50MHzで-0.52dB、100MHzで-60dBの減衰となりました。スペアナでは、50MHzで-0.51dB、100MHzでは-60dBの減衰となり、その特性に差異は見られません。

NanoVNAでLPF測定
50MHzLPF

 秋月電子で購入した電源用のチョークコイルの減衰特性を見てみました。双方ともに同じような特性が測定できました。

NanoVNAでチョークコイルの減衰特性測定

 水晶発振子の共振周波数を測定してみました。直列共振周波数と並列共振周波数ともに近似しており、同じような特定が測定できました。

NanoVNAで水晶発振子特性測定

 適当に作成したAM用のクリスタルフィルターの測定です。整合はとっていません。ほぼ同じ測定結果が得られます。

NanoVNAでクリスタルフィルター測定

 自作したステップアッテネーターの減衰特性です。0.4dB程度の誤差はありますがかなり相似します。

NanoVNAでステップアッテネーター測定

 アッテネーターをうまく使って、NanoVNAのCH1の入力レベルに注意すれば、高周波の広帯域アンプの特性も確認できます。500MHzまでの周波数特性を比較してみました。どちらの測定でも100MHzまでは、約20dBの利得があり、おおむね400MHzで利得がなくなることが確認できます。

NanoVNAでリニアアンプ利得測定

 NanoVNAのS11測定とS22測定は、スペアナの簡易的な測定とほぼ同等であることがわかりました。周波数変更でのキャリブレーション項目が多くて面倒ですが、キャリブレーション結果を複数(7個)保存できるので、測定パターンに応じて事前に保存しておけばよいでしょう。
 ネットワークアナライザーとして十分に使えそうです。アンテナアナライザー代わりに使うだけではもったいないと思います。価格も13000円程度と格安です。もっと早く入手すればよかったです。

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