リターンロスブリッジの製作その2
トラッキングジェネレータ付のスペアナやネットワークアナライザーでアンテナ等のSWRやインピーダンスを測定するときに使用するリターンロスブリッジを作り直しました・・・というか追加で作りました。
これまで使用していたものは、「リターンロスブリッジの製作」でトロイダル・コア活用百科を参考に作成したものです。DUT(測定ポート)を50Ωで終端した場合のリターンロスをDSA815で測定した結果が以下になります。左側が0~500MHz、右が0~50MHzです。なお、共にDUT開放時にノーマライズしてあるので測定値そのものがリターンロスとなります(以下、すべての測定結果でも開放時にノーマライズしています)。10MHzから250MHzまでが30dB以上で最も低いところは100MHz前後で約37dBの性能となっています。バラン(ソーターバラン)は、フェライトビーズFB801に4ターンとしているので低い周波数への対応があまりよくありません。
今回、作り直すにあたって、もう少し低い周波数までの対応を狙ってバランをFB801に6ターンとしてみました。抵抗は、できるだけ50Ωに近づけたいので誤差の大きい51Ωのカーボン抵抗からテスターを使って50.5Ω以下のものを選別して使用しています。ケースはタカチのMB-1Sという一番小さなケースを使用しました。
※回路図でUEW2.6とあるのは、UEW0.26の間違いです。
DSA815で測定してみると30dB以上の上限は200MHz程度とやや低くなりましたが、低い周波数では改善されています。特に1.5MHzでは、以前のものより9dB以上改善しています。また、20MHzから100MHzまで40dB近くのリターンロスが得られています。ケースやコネクタが異なるので単純にトランスの巻き数だけで改善できているかは不明ですが、以前のものよりは性能はよくなっています。
以前、APB-3を開発されたおじさん工房の掲示板でさらに低域に特化したリターンロスブリッジに関するやりとりがあって、ソーターバランの後ろに強制バランを入れるとの情報がありました。当時のやりとりを参考に新たにもう一台作ってみました。ソーターバラン(フロートバラン)も強制バランも6ターンとしています。UEW0.26φを使用するとトリファイラーで作成する強制バランは6ターンが限界でした。ケースは、一番最初に作ったものと同じくタカチのアルミダイキャストケースとして、基板はPPテープでエッチングして作成しました。抵抗はチップの金属皮膜抵抗49.9Ωを使用しています。
DSA815で測定してみました。低い周波数の改善の効果は大きく、特に10MHzまでは約50dB、100MHzまでは45dB以上のリターンロスが得られました。また、250MHz近くまで30dB以上が得られています。
さらに低い1MHz以下の特性をAPB-3で測定してみました。左は0~1MHz、右は0~100KHzです。これまでと同じくDUT開放時にノーマライズしています。低域側は100KHz近くまで50dB以上のリターンロスとなりました。100KHz以下は、リターンロスが次第に減少し、約20KHzで30dB以下となります。バランの巻き数を増やせばさらに低域が伸びると思われますが、自分の用途からは1MHzまで対応していれば十分です。
結果としてリターンロスブリッジを3台も作ってしまいましたが、最終的に使用するのは最後に作ったものとなりそうです。
9件のピンバック
リターンロスブリッジの製作 – henteko.org
si5351aを使ったシグナルジェネレーターの製作 – henteko.org
油冷式ダミーロードの製作 – henteko.org
7MHz用のマイクロバートアンテナの試作 – henteko.org
DDSモジュールを使用したSWRアナライザーの製作 – henteko.org
AD9851モジュールを使用したSWRアナライザーの試作について – henteko.org
SWRアナライザーの試作について | henteko.org
NanoVNA-H4とスペアナの比較 | henteko.org
自作LCメーターでの測定について | henteko.org
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