RD15HVF1を使ったリニアアンプの試作

 28MHzと50MHzで共用できるリニアアンプを試作してみました。元ネタは、HARDROCK-50という市販のキットです。このアンプは三菱のRD16HHF1を4個使用しており、HF帯で40~50W、50MHzで30~35Wの出力があります。市販品なので詳しい回路構成は不明ですが、おそらくパラレルのプッシュプルだと思われます。
 JA2NKDさんのサイトでは、RD16HHF1とRD15HVF1の差は小さいとあります。値段も大きく違わないので、RD15HVF1を使用することにします。手持ちのRD15HVF1は1個のみなので、新たに国内の販売店から4個購入しました。新たに購入したものは三菱のマークが無くてパッケージの印字も異なります。手持ちのものは3年ほど前に購入したものですが、ネットではRD15HVF1の偽物が出回っているとの情報もあり少し不安です。

 回路図です。ネットでの情報を参考に極力部品が少なくシンプルな回路としました。

 基板はCNCフライス盤で加工しました。

 入出力はメガネコアを使用したトランスで、入力は1:1、出力は1:9としました。1ターン側は銅パイプを通してあります。

入力のリターンロスを見てみるとHF帯から50MHzまでほぼフラットですが、SWRは3程度と高めです。

 入力に3dBのアッテネーターを入れて見かけ上のSWRをごまかします。

 これでエキサイターとなるFT-817からみたSWRは、HF帯から50MHzまで約1.5となりました。 

 14MHz、28MHz、50MHzで入出力特性を見てみました。入力には、3dBのアッテネーターがあるので、実際のアンプ入力はその半分です。グラフから見るリニアな領域は、28MHzで約40W、50MHzでは20W弱まででしょうか。リニアアンプとして微妙な感じです。ただ、14MHzなどは50Wまではリニアな領域と見てもよさそうです。

 50MHzで振幅変調した20dBmの信号を入力してみるとご覧の波形です。出力20Wの手前ですでに頭打ちとなっています。アイドリング電流はFET1個あたり300mA(合計で1.2A)としましたが、データシートとおりの500mAでも大きな違いはありませんでした。

 1.9MHzから50MHzまで入力を5W、2.5W、1Wと変えて出力を見てみました。電源は13.8V(実測で13.5V前後)でアイドリング電流は300mA(4個で1.2A)です。1.9MHzは、出力がやや少ないですが、それ以外はHARDROCK-50と同じような出力が得られます。偽物を疑ったRD15HVF1もどうやら本物と見ていいでしょう。FETの発熱も少なく動作も安定しています。

※この測定値には高調波が含まれています。LPFを通すとこの値の4~7割程度の出力となります。

 正確な出力は、スペアナで基本波を見ればわかりますが、自作したQRPデジタルパワーメーターとスペアナの測定値を比較するために50MHzのLPFを作って、28MHzと50MHzの出力を見てみました。28MHzで46W、50MHzで29Wとなり、ともにスペアナの測定値とほぼ同じ値になりました。