ステップアッテネーターの製作その2

 CNCフライス盤で基板加工ができるようになったので何か作ります。
 これまで使用してきた自作のステップアッテネーターのトグルスイッチの寿命が近いのか接触不良を起こすようになりました。接点劣化によるものだと思われます。使えないことはないのですが、スイッチを数度入れなおさないと接触が確保できないことがあるので新たに作り直します。

 回路図です。以前のものは3dBと6dBを入れたのですが、今回は10dBを4個と20dBの計60dBとしました。

 基板をPCBEで設計してガーバーデータを出力します。それをFlatCAMでGコードに変換します。今回は穴あけも行います。

 CNCフライス盤で基板加工しました。穴あけの前にV型のエンドミルからドリルに交換します。その際のゼロ点調整をミスって少し穴がズレてしまいましたが、この程度なら問題ありません。

 部品を実装しました。アッテネーターに使用した抵抗はチップ金属皮膜抵抗の2012サイズです。

 完成です。手前が前回作成したもので、奥が今回作成したものです。ケース(タカチMB5-4-7)の加工は同じデザインです。スイッチも前回と同じ秋月電子の6Pトグルスイッチです。

 スペアナで特性を見てみました。下左画像は、10dBのスイッチで10,20,40dBとして500MHzまでトレースしたものです。200MHzを超えると減衰量の変動はありますがおおむね良好です。
 下右画像は300MHzまで20dBのみのトレース(黄色)と20dBと10dB3個の計50dBのトレース(紫色)、すべてを入れた60dBのトレース(水色)したものです。50dBは100MHzを超えると減衰量の低下が大きく、それに引きずられるように60dBの特性も悪化しているように見えます。

 書籍などには減衰量の大きなセクションはシールドが必要とあります。20dBのセクションのみ銅板で仕切ってみました。50dBの精度は先ほどよりは良くなりました。あわせて60dBも改善しています。ただ、450MHzの所に共振点が発生しています。仕切られた空間によるキャビティ効果でしょうか。

 APB-3でもトレースしてみました。上から10dBごとに40dBまでと一番下は20dBを加えたものです。10dBのセクションはかなり安定した減衰量です。20dBのセクションを入れて60dBとするとやはり減衰量に乱れがでます。でも、この程度なら私の用途からはまったく問題ありません。なお、1MHz以下のトレースが変になっていますが、0~1MHzの狭帯域で測定すれば完全にフラットでした。45MHz以上の低下はAPB-3の特性です。
 下右画像は、100MHzの特性です。0dB入力(黄色)と10dBを4個の40dBのトレース(紫色)とそれに20dBを入れた60dBのトレース(水色)です。問題ありません。

 手持ちの自作アッテネーターをすべて組み合わせて減衰量を120dBとしてみました。自作シグナルジェネレーターの+2dBm出力が-121dBmとなりました。3dBの誤差です。ケーブルやコネクタのロスもあるのでこんなものでしょうか。

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