短波ラジオの製作その2(LA1600)

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[電子工作/ラジオの製作]
[ラジオ,LA1600,TA7368P,スーパーヘテロダイン,短波ラジオ]

origin 2008-09-27


異常な発振の対策をしたものを「短波ラジオの製作その5(LA1600)で作り直しました。


短波ラジオの製作(LMF501T+2Tr)」でストレート方式の短波ラジオを製作しましたが、実際に使用すると"欲"が出てきます。
もう少し、感度と選択度が良いのが欲しくなります。・・で、ついでに受信周波数が直読できてSメーター(信号レベルメータ)があれば・・・と。
あまり、本格的なものは、無理ですが、せめて感度と選択度だけでもということで、スーパーヘテロダインのラジオを製作します。

スーパーといっても、AMラジオ用ICのLA1600と低周波増幅ICのTA7368Pを使用した「ラジオの製作その4(2ICスーパーヘテロダイン)」とまったく同じ構成で同調回路と局発回路を短波用に変更するだけです。LA1600は、AMラジオ用なのですが、データシートには、中波ラジオと短波ラジオの回路例があるので問題なく使用できるようです。

ブレッドボードで開発


とりあえず、いつものように「高周波回路」であることを無視してブレッドボードで開発します。

短波ラジオの開発

同調コイルと局発コイルは、FCZの7MHz用を使用します。
同調と局発のコンデンサは、短波ラジオで使える2連バリコンが手に入ればよいのですが、あちこちの通販サイトを探しても見つけられませんでしたので、オーディオクラフト工房+PIC16F88最強伝説さんのSWチューナーで紹介されているバリキャップダイオード1SV149を使用する方式で製作することにします。

1SV149は、AMチューナー用のバリキャップダイオードで、1V〜8Vの電圧変化で、およそ20pF〜450pFの容量が得られるようです。始めは、1SV149と470pFのコンデンサを組み合わせて使用していたのですが、感度がいまひとつです。先のサイトを参考に、1SV149の2個組み合わせる方法に変更すると感度があがって、聞きやすくなりますが、トラッキングがズレるのか受信周波数帯域の上と下で感度差が大きくなってしまいます。特に、10MHz以上の高い周波数での感度低下が大きいようです。

そのほか、ストレートラジオ用のポリバリコンを2個使う方式も試してみました。ポリバリコンならLA1600とTA7368Pの電源としての3Vのみがあれば良いので単3乾電池2本で動作可能です。
局発側で放送局を受信できるようにして、同調側バリコンを最大感度になるよう調整する方法で、そこそこの感度で受信できます。ですが、この同調させるための2つのバリコンの調整がシビアでとても使いづらい状態です。

短波ラジオの開発2

高い電圧(といっても9Vあれば十分ですが・・)が必要ですが、受信感度やチューニングのしやすさを取って、1SV149を2個使用する方式で製作することにします。局発に周波数カウンタとAGC(6番ピン)にテスターを接続して、できるだけ広帯域で高感度受信できるように調整してみると、なんとかなりそうです。
受信周波数帯域は、約3MHz〜18MHzとなりましたが、1SV149に加える電圧が、1.5V以下になると、局発の発振が止まってしまうことがありました。実用的に使用できるのは、4.5MHzより上の周波数ということになります。


短波ラジオの開発3

ここまでの調整は、LA1600の出力にセラミックイヤホンを接続して行いました。一通り高周波部分の調整が完了したので、TA7369Pで低周波増幅させた出力をスピーカーに接続して音量を上げてみると・・・プギャー、ピギャー・・・と、ひどい異常発振が始まってしまいました。
このときは、ブレッドボードという環境が悪いため、変な回り込みがあるのが原因だろうと判断しました。実際に作るときには低周波と高周波部分のデカップリングをきちんとすれば直るだろうと、気楽に考えて製作に踏み切りました。・・・・これが間違いのもとでした。^^;


回路図


Bsch3Vで回路図を作成しました。
LA1600もTA7368Pも乾電池2本の3Vで動作することは、以前のラジオの製作でわかっていますが、今回は、1SV149の動作電圧を確保するため角形9V電池の006Pを使用します。LA1600とTA7368Pは、3端子レギュレータで5Vに安定化したものを使用します。
5Vの安定化された電源が確保できるなら、PICで周波数カウンタやAD変換機能でSメータを作って内蔵できれば・・という考えもよぎります。・・・ですが、「PICを使った周波数カウンター」と同じ様に表示にLCDを使用しても消費電流が30〜40mA程度は必要となります。これにラジオの分を加えて50mA近くになると思われます。006P角型電池の容量が200〜300mAhであると想定すると、電池コストの関係上、実用的には、ちょっと厳しいかもしれません。

短波ラジオの回路図

PCBEで実装配線図を作成しました。以前作成のラジオの実装を参考にしています。

短波ラジオの基板実装図

製作

部品点数も少ないし、「ラジオの製作その4(2ICスーパーヘテロダイン)」で実績のある回路なので安心して製作しました。

短波ラジオ基板表短波ラジオ基板裏

なお、この画像のものは、上の回路図や実装配線図と部品数が異なっています。なぜ、異なっているかは、以下を見てください。

ここまでは、楽しい電子工作でした。^^;


異常発振


バラックで接続して、早速受信テストしてみます。
空中ノイズ状態では、問題ありませんが、放送局に同調すると"プギャー"とものすごい音がスピーカーから発生します。ブレッドボードと同じ完全な異常発振状態です。

短波ラジオのテスト

低周波増幅部が悪いのかと、AVR-DDSでTA7368Pの入力に1000Hzを加えると音量を上げてもクリアに聞こえます。また、低周波を切り離した状態で、LA1600の出力をセラミックイヤホンで聞くと正常に聞こえます。
・・・つまり、高周波部と低周波部の個々には問題がないのですが、接続すると発振してしまいます。
高周波部と低周波部のインピーダンスマッチングの問題なのか・・・、電源ラインと接地ラインのカップリングの問題なのか・・・・、高周波や中間周波の回りこみなのか・・・、と、基板を裏返して部品を追加したり外したりと半日に渡りあれこれやってみましたが、完全な解決策はありませんでした。

最終的には、回路図にも示してあるとおり、LA1600の出力にフィルタをいれることである程度の効果を得ました。また、1SV149の制御電圧ラインにパスコンを入れたことも多少は効果があったようです。しかし、スピーカー出力で聞く場合は、スピーカーのサイズや効率の関係上、ある程度音量を上げる必要があります。そうすると、やはり異常発振が始まります。

しかたがないので、スピーカー出力はあきらめて、イヤホンのみで利用することにします。これは、解決したのではなく、イヤホンでは、異常発振するまで音量を上げる必要がないために選択した苦肉の策です。^^;

周波数カウンターも組み込むつもりでテストしたのですが、どう考えても失敗作と思えるので、あきらめます。

短波ラジオへの周波数カウンタ組み込み




完成

イヤホンのみとは言え、一応は短波ラジオとして使えますし、前回のLMF501Tを使用したストレート方式の短波ラジオよりは間違いなく高感度で選択度も優れています。音量もイヤホンで普通に聞く分には十分です。・・ということでちゃんとケースに入れて完成させました。

秋月電子のポリカーボネートケース中サイズです。以前、別の工作のケースとして加工したところ、間違えて穴を開けたため使用しなかったものを転用しました。
同調用ボリュウムは、微妙な調整が必要なので、多回転のポテンションメータを使用しています。

短波ラジオケース組み込み

アンテナ端子は、昔に買ったSONYのBCLラジオ(あんまり昔なので型番わすれた)に付属していた巻き取りリール式の短波用ワイヤーアンテナの使用できるように3.5mmφのミニジャックにしました。

短波ラジオ用巻取式ワイヤーアンテナ(ソニー製)

この巻き取り式ワイヤーアンテナは、伸ばすと10m程度あるので、昼間でも沢山の放送を受信することが出来ます。夜間は、室内で2m程度伸ばせば十分です。6MHz前後の周波数帯では、隙間のないほど沢山の放送を受信することが出来ます。選択度もよく、AGCも効いているので、失敗作とはいえ、実用性は十分です。


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