バランの製作

※製作したバランを使用して50MHzのV型ダイポールアンテナを作りました。(2021-05-01)


 50MHzのヘンテナを作る予定なので、その前にバランを作ります。ヘンテナはエレメントが平衡となるので強制バランが良さそうです。強制バランで試してダメだったらフロートバランに切り替えます。

アンテナバラン回路図
アンテナバラン回路図

 フェライトコアは、100Wまで入力できるようにFT114-43を使用します。線材は、UEW1.0mmを使用します。3本の並列巻で8ターンで作成しました。アンテナ側に51Ωの抵抗を接続し、スペアナでリターンロスを測定すると、HF帯はSWRがおおむね1.1以下となりますが、50MHzではSWRが約1.24とあまり低くなりません。コネクタ側の結線はできるだけ短くしています。アンテナ側は、取り回しでリターンロスが大きく変化します。一番良い状態で測定した結果がこれです。性能としてはこんなものでしょうか。

3線平行巻のアンテナバラン
3線平行巻のアンテナバランのリターンロス

 オシロスコープを使って、7MHz、30MHz、50MHz、100MHzでのアイソレーションを見てみました。中央の紫色のトレースが差分です。30MHzまでは平衡度も問題なくアイソレーションも十分です。50MHzでは少し差分がでてきて、さすがに100MHzでは巻き線の長さの影響が出てきていると思われます。

 50MHzでの性能に満足できないので、撚線での強制バランも作ってみました。結果としては、並列巻よりも若干ながら性能は悪くなりました。(画像で気づいたのですが、並列巻と同じ8ターンとしたつもりでしたが、9ターンありますね。この影響があるかもしれません。)

3線撚線のアンテナバラン
3線撚線のアンテナバランのリターンロス

 フロートバランも作ってみました。35cmの線材で10ターンとなりました。50MHzでのリターンロスが-17dBなのでSWRは1.33となります。フロートバランもアンテナ側の取り回しでリターンロスが大きく変化します。コネクタ側の配線の取り回しはシビアだと思っていましたが、アンテナ側もかなり影響を受けます。単純に考えていましたが作り方によっては性能が出ない可能性があります。(それともなにか勘違いしているのでしょうか?)

フロートバラン
フロートバランのリターンロス

 どれも性能的には今一つです。以前、AMラジオのバーアンテナを作ろうと購入してあった棒状のフェライトコアでも強制バランを作ってみました。ネットの情報では市販のバランは棒状のフェライトコアを利用したものが多いとのことです。フェライトコアはaitendoで購入したもので特性はわかりません。太さ10mmで長さ70mmのものです。これに並列巻で8ターンとしました。スペアナでリターンロスを見てみると、これが性能的には一番良い結果がでました。HF帯の低い周波数はあまりよくありませんが、10MHzから30MHzまではリターンロスが-30dB以上得られます。50MHzでも-24.4dBとなるのでSWRは1.12~1.13となります。8ターンでのインダクタンスは5μH程度あるので、50MHzでのリアクタンスは1.57kΩと十分です。ただ、HFの7MHzのリアクタンスは220Ωとなるので不足します。HF(少なくとも3.5MHz帯)で使用するなら巻き数を増やす必要があり、巻き線が長くなるので50MHzでは不利になります。

フェライトバーによるアンテナバラン
フェライトバーによるアンテナバランのリターンロス

 SWRアナライザーで測定してもSWR1.13が得られました。

フェライトバーによるアンテナバランのSWR測定

 ローバンドのダイポールアンテナの張替え用に用意してあった市販のバランの特性も見てみました。ダイヤモンド社のBU-50Aという製品です。仕様では1.7~40MHz対応となっていますが、2MHzでのリターンロスは-14.75dBとなるのでSWRは約1.45となり、低域側の性能があまりよくありません。逆に高域側は50MHzでも-17dBとなり、SWRで約1.33となるので使えないことはなさそうです。ダイヤモンド社のバランは3~75MHzに対応したBU-55という同じシリーズものがあります。これと比較してローバンド対応ということでわざわざこちらを選択したのですが、ローバンドの性能的には少し心配です。

ダイアモンド社アンテナバラン BU-50A
ダイアモンド社アンテナバラン BU-50Aのリターンロス

 最終的には、バーアンテナ用のフェライトコアを利用した強制バランを製作しました。塩ビパイプ(VU40)に入れて防水処理しました。これでアンテナを作ってみて性能がでなければフロートバランを試してみたいと思います。

自作したアンテナバラン内部
自作したアンテナバラン外観

追記 コア材について

 50MHzで使うならトロイダルコアの材質が43材と61材で差は少ないと思っていましたが、とりあえず特性を見てみました。FT50サイズの43と61のコアに極細同軸(モガミ2310)を7ターン巻きのフロートバランとして比較し、その後、単線を追加して強制バランとして比較します。

 スペアナでリターンロスを見てみます。トレースはいずれも黄色がFT50-43、紫がFT50-61です。フロートバランでは、同軸でインピーダンスの整合が取れている状態なので安定して同じ特性となります(下の左画像)。リターンロスだけならコア材による違いはほとんどありません。一方、強制バランでは61材は43材よりもHF帯でのリターンロスが少なくなります(下の右画像)。単純にHF帯で使用するなら43材、50MHzで使用するならどちらでも同じということですね。

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