同軸ケーブルへのフェライトコアの効果

 ベランダにエンドフェッドアンテナを張って7MHz帯を受信すると帯域全域に渡ってS8近くのノイズが聞こえます。暫定的なアンテナエレメントで長さが短いこともあってアマチュア無線のQSOはノイズの間からかろうじて聞こえる状況です。ノイズは、時間帯やエレメントの張り方にあまり影響を受けないので、都市ノイズとはちょっと異なるものです。

 おそらくコモンモードノイズと判断して対策します。参考にしたのは、アマチュア無線 by JI1ANI さんのサイト。

 電源ラインはパッチンコアで対策してあるので、アンテナの同軸ケーブルでも対策することにします。対策には、同軸ケーブルにフェライトコアを使うのが一般的です。パッチンコアが簡単に入手できればいいのですが、ADSL華やかな頃とは違って、最近ではなかなか見かけません。大型の電気店では取り扱いがありますが、価格が高いのがネックです。手持ちのフェライトコアで一番大きなものでもFT82-43なのでBNCコネクタを通すことができません。そこでSMAコネクタが付いた計測用の1mの極細同軸ケーブルをフェライトコアに通してノイズ対策します。

 フェライトコアFT82-43は、2個手持ちがあるので、2個まとめてケーブルに通します。1ターン(コアに1回通す)では、Sメータに変化はありませんが、耳で聞くと効果がわかります。耳障りなノイズが少しだけ静かになった印象です。3ターンでS4、4ターンでS1とターン数を増やすとノイズも順調に減っていきます。

 最終的に、5ターンでSメータはまったく振れなくなりました。バンド内全域にわたってノイズが少なくなりました。ノイズが少なくなってQSOの明瞭度が上がりました。7ターンまで試したのですが、5ターン以上は耳で聞いたところでは大きな変化は感じられません。

 ノイズには効果ありですが、受信したい信号も弱くなるようでは困ります。影響があるかどうか、GigaStを使用して調べてみました。0MHz~500MHzまでの特性です。左が1ターン、右が6ターンです。特性はほとんど同じで信号の減衰はありません。周波数が高くなると減衰が若干(1dBm以下)増えるのは同軸ケーブルの損失です。

 HF帯(0MHz~30MHz)での減衰特性も確認しました。左が0ターン(フェライトコア未挿入)、右が6ターンです。減衰はまったくありません。低い周波数で特性が暴れるのはGigaStの性能です。

 フェライトコアに同軸ケーブルを巻きつけることで、受信したい信号にまったく影響を与えずにノイズだけを減らすことができます。結果として、低い周波数全域で聞こえるノイズはコモンモードノイズと考えて間違いなさそうです。おそらく、一般的なパッチンコアでも同じ効果があると思われます。
 とりあえず、ノイズなしで受信できる環境はできましたが、ベランダまでの5mのケーブルに両端コネクタに加えて変換コネクタや中継コネクタなど合計9個が挿入されています。このままで運用するには、問題がありそうです。同軸ケーブルと大きなフェライトコアやパッチンコアなどを購入して対策したいと思います。