最終更新時間:2007年12月07日 12時24分36秒
[公開:any]
[電子工作/実験]
[DC-DCコンバーター,HT7750,HT7733]
新型のHT7750AをDC-DCコンバーター2でテストしています。(2007-12-22)
HT7750とHT7750Aの評価をDC-DCコンバーター4(HT7750Aを再テスト)で改めています。(2008-07-19)
HT7750を「PICを使った周波数カウンター」で実際に使用しました。(2008-08-02)
HT7750を「電界強度計の製作」で実際に使用しました。(2008-12-14)
乾電池1本をPICやAVRなどのワンチップマイコンの電源としたり、LEDを点燈したりできるDC-DCコンバーターICを入手したのでテストしてみました。
準備したのは、台湾のHOLTEK社のDC-DCコンバーターICで、共立電子で3.3V出力のHT7733と5V出力のHT7750の2種類を購入しました。
外形はTO-92タイプで2SC1815のようなフツーのトランジスタと同じで入力、GND、出力の3端子しかありません。
入力の最低電圧は、0.7〜0.9Vとなっているので、乾電池1本でも十分だと思われます。データシートにある回路図を参考に以下の回路でテストしてみました。
HT7733は、出力電圧3.3Vが得られるコンバーターICです。抵抗負荷で100mAを取り出したときの出力電圧が、3.1V程度なので、ほぼデータシートとおりの性能があるようです。なお、ICの入力につなぐインダクタ(L)は、データシートでは100μHの指定があるのですが、手持ちの100μHでは、データシートよりも低い出力しかえられませんでした。手持ちのインダクタでは、写真の22μHのものがもっとも高出力が得られました。
高輝度白色LEDの順方向電圧は、3.5V程度と高めのものが多いので、HT7733の出力でドライブするのは苦しいものがあるかもしれません。ちなみに手持ちの高輝度青LED(一応、定格では最小順方向電圧3.4V)は、直接接続したところ問題なく点燈しました。
HT7750は、出力電圧5.0VのコンバータICです。データシートでは入力1.5V時に出力電流40mAで4.8V程度得られることになっていますが、実際は、4.3V程度しか得られませんでした。
このICのテスト回路もインダクタを以下のように入れ替えてテストしてみました。なお、負荷は120Ωの抵抗負荷としています。
インダクタ | インダクタの種類 | 出力電圧 |
---|---|---|
1mH | ラジアルリード | 3.38V |
150μH | トロイダル | 3.28V |
100μH | ラジアルリード | 3.38V |
100μH | アキシャルリード | 2.12V |
100μH | トロイダル | 3.25V |
82μH | ラジアルリード | 3.30V |
68μH | ラジアルリード | 3.31V |
56μH | ラジアルリード | 3.40V |
47μH | アキシャルリード | 1.96V |
33μH | ラジアルリード | 3.89V |
22μH | ラジアルリード | 4.33V |
15μH | ラジアルリード | 4.12V |
このテストから、インダクタの最適値は22μHとなります。ただ、手持ちのインダクタのメーカーや種類が異なる(つまり性能が異なる)ため、一概には判断できませんが、少なくともデータシートのサンプル回路中の100μHよりは小さな値のほうが、良い結果が得られるようです。(乾電池1本から得られる出力としては)
また、インダクタの種類としてアキシャルリードタイプ(抵抗みたいな形のヤツね)は、使用に向かないようです。(用途を考えれば当然か・・)
入出力コンデンサの値は、変更しても出力に大きな影響はありませんでした。入力コンデンサは、はずしてしまっても、まったく影響なしです。出力コンデンサをはずすと、負荷の値のよっては発振したような状態となって、出力が低下することがありました。出力コンデンサなしでは、まったく動作しません。(2007-10-30追記)
フライホイルダイオードは、ショットキーダイオードの必要があります。一般整流用ダイオードを使用した場合は、開放電圧は正常値を示しますが、負荷をかけたときに、急激な電圧低下が発生しました。
スイッチング動作による昇圧回路は、高周波ノイズによりアナログ回路の使用に向かないことがあります。このICの動作中に、「ラジオの製作その3」で作ったラジオを近づけてみると、AMラジオの中波帯全域でまったく受信できなくなりました。
このICは、PFM(Pulse Frequency Modulation)方式を採用していますが、他のDC-DCコンバーターによく利用されているPWM(Pulse Width Modulation)方式よりもノイズに対しては不利なのかもしれません。