コモンモードフィルターの製作
これまでも何個か作成していますが、移動先(単身赴任先)で使うコモンモードフィルター(CMF)を作成します。フェライトコアはFT140-43を2個使用します。同軸ケーブル1.5D-2VをそれぞれにW1JR巻きでシリーズ接続です。ケースは塩ビパイプVU40を使用します。同軸ケーブルを巻いたコアがぴったりと収まります。


VU40の専用キャップにBNCコネクタを取り付けて完成です。材料さえあれば30分程度で作れます。


作成したCMFの特性をNanoVNAで見てみました。おおむね2MHz~53MHzまで30dB以上の減衰が得られます。67MHz付近に自己共振が見られますが、短波帯での利用とするので影響はないと考えます。


2つのフェライトコアがケース内で近接するので影響がありそうです。試しにケースから一部取り出して測定するとさらに良い特性が得られました。なるべくコンパクトになるように塩ビパイプを短くしたのですが、フェライトコアがある程度離れるように塩ビパイプをもう少し長くすれば良かったです(そのうち直します)。


ちなみにこれまで同軸ケーブルに取り付けていたクランプコア(TDK ZCAT2035-0930A)6個の特性はこんなもんです。減衰量だけを考えれば、クランプコアを大量につけるよりはCMFを使ったほうが得られる効果は大きいです。


挿入損失も見てみました。30MHzで0.21dBの損失となりました。使用したフジクラの同軸ケーブル1.5D-2Vの規格では30MHzで155dB/kmの減衰特性となっています。使用したケーブル長は1.4mなので、同軸ケーブルだけで0.217dBの損失がある計算です。コネクタの影響もあるとは思いますがおおむね整合すると見ていいでしょう。500MHzまでの特性を見るとCMFとしての効果は別として144MHzで0.5dB程度と損失は少ないです。


IC-705ではスペクトラムとウオーターフォールが見えるのでこれでノイズを見てみました。初めにCMFなしで受信してウオーターフォールをHOLDし、その後CMFを挿入してウオーターフォールを半分表示させてHOLDさせています。すなわちウオーターフォールの下半分がCMFなし、上半分がCMFありとなります。
3.5MHzと7MHzではしっかりと効果が見えます。耳で聞いた感じもノイズが少なくなりました。Sメーターは0.5~1程度の差です。


14MHzと21MHzです。ウオーターフォールの変化がはっきりとわかります。Sメーターの差は1~3程度です。耳で聞いた感じも明らかにノイズが少なくなっています。


28MHzと50MHzです。もともとノイズは少ないのですが、ウオーターフォールでも耳で聞いた感じも全く変化はありません。


1.9MHzでは、CMFを入れたことで逆にノイズが増えてしまいます。耳で聞いた感じでもノイジーになりました。また、CMFの効果がなかった28MHzでは、アンテナにスクリュードライバーアンテナのSD330を使用した場合は、はっきりとした効果が得られました。


使用環境やアンテナによってコモンモードノイズの量が異なるので効果についても様々です。とりあえず試してみるのが良いと思われます。CMFの挿入場所は無線機の直前となりますが、アンテナ直下にも欲しいところです。防水性を考えるとアンテナ直下はクランプコアが簡単で良いと考えます。