電界強度計の校正
前回、製作した電界強度計は、LOGアンプICのAD8307のデータシートから換算した値を使ってAVRをプログラミングしたので、校正されたものではありません。AD8307を含んだ高周波部分単体で電界強度-出力レベルの直線性は確認してあるので、相対的な電界強度を比較するには十分なスペックなのですが、やはりキチンと校正して絶対値が読めるようにしようと思います。
この目的のためだけに標準信号発生器を入手しました。(←ウソです。)
アンリツのディジタル変調信号発生器です。携帯電話などのテストのためにディジタル変調した信号を発生するSG(シグナルジェネレータ)らしいです。出力は300KHz~2.75GHzと広帯域でレベルも-143dBm~13dBmまで対応しています。IQ変調方式のディジタル変調は必要ないので無変調で信号を出力して電界強度計を校正します。なお、このSGは、校正期限が過ぎていると思われるので、急遽、知合いの会社で周波数と信号レベルを確認させてもらい、大きな誤差はないことを確認してきました。
AD8307は、音声帯域の低周波から500MHz程度の高周波まで対応しています。今回は、電界強度計を校正する基準周波数として、100MHzを選択しました。始めにSGの周波数を100MHzとして出力レベルを-60dBm~+10dBmに変化させて、電界強度計の値を見てみると、ほぼ3dBm程度低く表示されることが確認できました。心配した傾きも±1dBm以内で収まっているようです。
傾きについては修正の必要はないと判断しました。基準となる信号レベルを-30dBm(まったく根拠なし)として、切片に+3dBmを加算するようにAVRのプログラムを修正しました。
SGと電界強度計の表示単位をdBu(デービーマイクロ)に切替えても同じ値が得られます。
mV(mVrms)もほぼ同じ値を示します。
ということで、校正完了です。
SGから10MHz、100MHz、300MHz、500MHzの各周波数を出力し、その信号レベルを-80dBm~+10dBmまで可変したときの電界強度計の表示値をグラフにプロットしました。なお、10MHz以下では、5MHz、1MHzもデータを採取したのですが、10MHzとほぼ同じ値でしたので省略しました。
{{image efs_meter.PNG,,alt:電界強度計特性グラフ,size:99%}} 電界強度計へ入力する信号レベルは、実用範囲として-65dBm~+10dBm程度までとなりました。100MHzより低い周波数では、多少無理すれば-70dBm程度まで利用できそうです。
また、100MHz~1MHzまでは、周波数による変動が少ないので、直読した値を補正せずに使えそうです。1MHz以下については、300KHzまでは大きな誤差はありません。SGの仕様範囲を超えますが、50KHzまで試したところ、誤差も1dBm以内で利用は出来そうです。(ただ、SGの出力レベルが正しいかどうかはわかりません。)
100MHz以上では、200MHzを超える辺りから1dBm以上の誤差となるようです。300MHzでは、-2~-3dBm程度、500MHzでは、-4~-5dBm程度低く表示されるので、直読値を補正(頭の中で減算)して利用することにします。(ざっくり200MHzで2dB、300MHzで3dB、400MHzで4dB、500MHzで5dBと覚えておくことにします。)
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