ブレッドボードでエアバンド受信機の製作

最終更新時間:2022年04月30日 20時02分11秒

[公開:any]

[電子工作/AVR]
[電子工作/ラジオの製作]
[AVR,ATTiny85,si5351a,エアバンド,NE612AN,TA7358P,LA1600]

origin 2022-04-30


 プログラマブル周波数シンセサイザーのsi5351aをVFOとしてエアバンド受信機を作ります。VFOは特に難しくはないのですが、これまでの作成事例から、エアバンドは受信強度が大きく変化するため、ダイナミックレンジが重要と思っています。受信機では、AGCにより強い電波も弱い電波も同じような音量の音声出力となるようにしなければ使いづらいものとなります。
 受信機の基本的な構成として、以下のパターンをブレッドボードで試しました。エアバンドのVHF帯は少し無理があるのですが、高周波増幅もブレッドボード上としました。

パターン 高周波増幅 周波数変換 中間周波数増幅 検波 低周波増幅
1 2SK241 NE612(SA612) 2SK241 2段 ダイオード(1SS106) LM386(NJM386)
2 2SK241 NE612(SA612) LA1600 LM386(NJM386)
3 2SK241 TA7358 2SK241 2段 ダイオード(1SS106) LM386(NJM386)
4 2SK241 TA7358 LA1600 LM386(NJM386)

 IF周波数を10.7MHzとします。そのため局発(1st LO)は、si5351aで107.3〜125.3MHz(エアバンドの118〜136MHzに対応)を出力します。LA1600を使用する場合は、ダブルスーパーとなるので第2局発(2nd LO)の10.245MHzもsi5351aで出力します。VFO基板はCNCフライス盤で5cm角基板上に作成して部品実装しました。

si5351a-VFO

 テストの結果、前記パターン1で作成することに決めました。その回路図です。IF2段だとやや音量が小さくゲイン不足でした。IFを3段とするか迷いましたが、AFプリアンプを入れることでゲインを稼ぐことにしました。AGCの取り出しは、利得制御の電圧範囲が大きくとれるAFとしました。

エアバンド受信機回路図

 受信回路基板も、CNCフライス盤で作成しようと設計を始めてみたのですが、表面実装で回路を構成するのが結構大変です。ケースとして利用するために、100円均一で買ってきたポリプロピレンケースの幅を見てみると、ブレッドボードのサイズがぴったりです。実は10年程前に、秋葉原の店頭で購入した安いブレッドボード(ロングで単価270円、ショートで180円)をそれぞれ3枚づつ死蔵しています。このブレッドボードは、普通の部品の0.5mmのリードの抜き差しが緩く接触不良がありそうなので使用していませんでした(低い容量のセラミックコンデンサなど0.4mmのリードは接触不良が頻発します)。送信機とは違い、受信機だけなら接触不良でも大きな問題にならないと考えてブレッドボードで作成することにしました。


 ブレッドボードでコイルを利用するための変換基板を作ります。秋月のガラエポ両面ユニバーサル基板をハサミで切り出して整形して作成しました。

ブレッドボード用高周波コイル

 VFOは基板で作成済みですが、どうせならということで、ショートのブレッドボード上にあらためて作りました。受信機用のVFOなのでスプリアスをシビアに考える必要はありません。受信音を耳で聞いてみて問題なければOKとします。受信回路は、ロングのブレッドボード上に実装して完成です。

ブレッドボードのエアバンド受信機

 実際に受信してみるとAGCの効きが今一つです。受信感度を確保してAGCをしっかりと効かせるセッティングを試行錯誤してみました。AGCの取り出しをIFに変えたりしたのですが難しいですね。2SK241のIF3段も挑戦してみましたが、1段当たりのゲインをかなり落とさないと発振したりして満足できるものではありません。ブレッドボード上ということも関係しているかもしれません。とりあえずこの状態で使ってみます。
 


 やはり、AGCの効きが満足できません。色々と試したパターンの中でIF段にLA1600を使用したものがAGCの効きが安定していたので以下の回路で作り直してみました。この回路構成、高周波増幅と周波数変換を取り除いて第2局発を可変にすれば短波受信機そのものです。

エアバンド受信機回路図

 最初に作成したものを外して、TA7358とLA1600を使用したものに入れ替えました。ブレッドボードは、初めから張り付いていた両面テープでケースに張り付けていたのですが、これをはがしてみると両面テープがすべてケースに残り、接触金具がポロポロと外れてしまいました。おかげで差し込んだ部品のリードとの接触構造がよくわかりました。


 実際に受信してみると最初に作成したものと比較して、感度が若干悪いのですが、AGCの効きは悪くありません。やはり専用のICはよくできているということでしょうか。AGCがちゃんと機能しているので、ある程度以上の受信強度の信号は、ほぼ同じ音量で聞こえます。10年以上前にPLL-VFOを使用したエアバンド受信機を作成しています。この時はIF段以降にLMF501TというワンチップラジオICを使用しました。これと比較するとAGCの効きが良いので圧倒的に聞きやすい受信機となりました。

ブレッドボード航空無線受信機内部ブレッドボード航空無線受信機外観
 
 航空無線は、放送を除くと数少ないAMによる音声通信となります。VHF帯ということで局発が難しいのですがsi5351aを使えば簡単にVFOが作れます(再現性100%で調整個所無し)。受信機そのものは特別な部品はなく、現在の市販部品で作ることが可能です。ブレッドボードで試行錯誤しながら作れば失敗することも少ないと思います。おススメです。上空の航空機からの電波なので、おそらく日本全国で簡単なアンテナで受信できると思われます。
  


 いつも聞いている東京管制東海セクター(123.900MHz)は、地上局(東京コントロール)も含めて良く聞こえていますが、130MHz以上の受信感度が悪いようです。高周波増幅のゲインをスペアナで確認すると同調範囲が狭く125MHz以上のゲインが無いことがわかりました。コイルを追加して複同調としてエアバンドの周波数範囲である16MHzをちょうどカバーするような形で調整しました(回路図は修正済みです)。もう少しゲインが欲しいのですが、最大でも8dB程度までとなります。2SK241以外も試してみましたが、2SK544でほぼ同じゲインでした。2SK439は1〜2dB程ゲインが大きかったですが、手持ちは最後の1個のみなので使いませんでした。


 


 AVRのプログラムです。CコンパイラはXC8を使用しています。I2Cのライブラリは、Tiny用ならどれでもOKです。Githubで公開されているTinyI2CMasterを使用させていただきました。
 スイッチは2個使用しますが、ATTiny85のピン数が不足するのでADCにより2個のスイッチ入力を読み取ります。スイッチ1はVFOモードとメモリーモードの切り替えです。スイッチ2はステップの切り替えで長押しするとVFOモードの時はその時のVFOの周波数をその時のメモリチャンネル(Chで表示)に書き込みます。メモリーモードの時はその時のメモリーの周波数をVFOの周波数として設定します。ちょっと複雑です。
 周波数のメモリーはEEPROMを利用するので電源を切っても保持されます。30チャンネルとしていますが、EEPROMは512Byteあるのでさらに増やすことも可能です。なお、電源ONの時はメモリー00の周波数を読みだしてVFOにセットします。

このテンプレートをデザインした者がへたれなので IE6 には非対応です。IE7FirefoxSafariOperaChrome など、モダンなブラウザを利用して下さい。


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