デジタルモード(FT8)での回り込み対策について
FT8での運用で7MHzの20WのパワーではPCへの高周波の回り込みの影響はなく、問題なく運用できていたのですが、7MHzで50WにQROすると無線機が送信しっぱなしになる状態が多発しました。そうなるとWSJT-Xを終了するしか復旧の方法がなくなります。対策として無線機周りやPC周りのケーブルすべてにパッチンコアを投入してしのいでいました。
3.5MHzの運用をはじめると20Wでも送信中にAF信号が無音になる症状が出始めました。いつもということではなく、時折発生するというパターンです。パッチンコアを追加で投入するとよくなったように見えるのですが、しばらくすると発生して交信中の相手に迷惑をかけていました(申し訳ありません)。また、QROして50W送信するとAF信号無音で送信しっぱなしになります。
ネットで情報を探るとUSBアイソレーターが効果があるとのことです。早速アマゾンで購入して投入してみましたが、状況に変化はありませんでした。おそらくUSBだけで接続する最新の無線機とPCの接続には効果があるのだと思います。我が家の無線機は送受の制御がUSBを介したCATコントロールでAF信号は自作したインターフェースBOXを経由しています。一応AFトランスを介して接続しているので影響は少ないと思うのですが、AF側からの回り込みでPCの動作が不安定となっていると思われます。
結果として我が家で一番効果のあった対策がこれです。USBオーディオインターフェースです。アマゾンで1200円程度で購入できます。これを使うと3.5MHzで50Wまで問題なくなりました。普段は20~30Wで運用していますが、これで対策してから一度も回り込みによる影響は発生していません。
投入済みのパッチンコアをいくつか外してみましたが回り込みは発生していません。
パッチンコア(クランプコア)は磁性体としてフェライトを使用しているので、低い周波数では効果は少なくなります。3.5MHzでどの程度の効果があるのかスペアナで見てみました。減衰が大きくなれば、その効果が大きいと判断してよいでしょう。使用しているパッチンコアは、すべて秋月電子の通販で購入したものです。
もっとも小さなLF-35B(@50円)の2ターンです。スペアナは以後すべて0~30MHzまでスイープとなっています。3.5MHzで1dBm程度の減衰が得られます。この数値でどの程度効果があるのかわかりませんが高い周波数と比較すると減衰量は少ないです。
四角形のLF-501B(@50円)の2ターンです。30MHzまでいくとLF-35Bよりは効果がありそうですが、3.5MHzではあまり変化はありません。
灰色のジャケットとなるECND906088(@80円)です。上2つよりは単価で30円高いだけありそうです。3dBmということは電力で半分になるということです。3.5MHzでも効果がありそうです。
一番大きなLF-102B(@100円)です。5D-2Vなどの同軸ケーブルにぴったりです。これを一番たくさん利用しています。やはり大きいなりに効果はありそうですが、3.5MHzでは十分ではありません。
参考までに古くから利用しているTDKのクランプコアも見てみました。品番はZCAT2035-0930です。1個200円程度で数年前に購入したものです。LF-102Bとほぼ同じサイズですが大きな減衰量が得られます。さすがTDKです。ただ、秋月電子のものも周波数が高くなれば効果はありそうです。目的とする周波数と予算との相談ですね。
パッチンコア(クランプコア)ほどお手軽ではないですが、フェライトコアを使って対策するとより効果的です。
ただ、配線を切断するなどの加工は困難なのでコネクタを通すことができる径の大きなフェライトコアを用意する必要があります。アミドン社のFT82とFT114、FT140を用意して4ターンで比較してみました。いずれも材質は#43(43材)です。
FT140(黄色のトレース)では3.5MHzで12dB近い減衰が得られます。FT114とFT82(水色のトレース)は、ほぼ同じ特性でその半分の6dB程度となりました。使用時には画像のように数回巻くのでかなりの効果があります。手間はかかりますが、回り込みで困っているのなら試す価値はあります。
1件のピンバック
TDKクランプコア(クランプフィルタ)の特性について – henteko.org
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