PLL-VFOを使った50MHzSSBトランシーバーの製作

※とりあえずPLL-VFOだけ作りました。(2016-10-31)
※局発を作ってVFOと局発切替によるトランシーブ動作を確認し、全体の回路図を作成しました。(2016-12-04)
※完成しました。・・・年を越さないでよかった。(2016-12-25)

 50MHzのSSBトランシーバーを作ります。「DDSをリファレンスにしたPLL-VFOの実験」でミキサーICを使用したプリミックスVFOを追加実験したのですが、スプリアスが多くて問題があるので、予定とおりDDSをリファレンスにしてPLL-VFOを使用することにします。最初はブレッドボードの実験環境のまま、NE612を使用して受信回路をテストしてみました。IFフィルターは、8.192MHzの水晶発振子を使用しています。高周波増幅なしでIFは2SK241の広帯域増幅回路のみです。この状態でJA2IGYのビーコン(FT-817で受信するとS7~8の信号です。)を受信してみると普通に聞こえますが、ちょっと感度不足を感じました。この先、回路をどうするかは考えます。ラグリード方式のループフィルターを確認するため、受信しながら周波数を変更してみましたが、耳で聞く限り違和感はありませんでした。

 PLL-VFOとしては問題なさそうなのでこのまま製作を進めます。回路図も実験時から多少見直ししました。

※回路図を一部変更しました。(2016-11-03)
※VCOの電源にリップルフィルターを入れました。(2016-12-04)

DDS(AD9833)リファレンスPLL-VFO回路図

 ランド方式でプリスケーラー+PLL部とVCO部を作りました。回路図では発振コイルにトロイダルコアを使用したのですが、aitendoでちょうどよさそうなコア付コイル(0.35~0.7uH)があったので使用してみました。(IF周波数を10.245MHzに変更したので、VCOの出力周波数も変更しました。)
 回路図でFCZコイルとしたコイルもサトー電気で調達した互換品です。他のFCZ互換コイルではFCZコイルと比較して思うような出力が出なかったものもありましたが、このコイルは同じようにパワーがでます。

DDS(AD9833)リファレンスPLL-VFO

 VFO出力をスペアナで見てみました。10dBのアッテネーターを挿入しています。スパン50MHzと2MHzです。ブレッドボードでは、DDS出力のリファレンスによる弱いスプリアスが確認できたので心配しましたが目立ったスプリアスはありません。

 APB-3で狭帯域でも確認しました。スパン1MHzと100KHzです。受信機で聞いてみてもきれいなトーンが聞こえます。

※VCOの周波数範囲を変更したら微妙なノイズが聞こえました。VCOの電源にトランジスタを使用したリップルフィルターを入れたところ解消しました。(2016-12-04)

 局部発振回路と4053(アナログマルチプレクサー)を使用したVFOとLOの切替回路を作りました。ブレッドボードで「7MHz-QRP-SSBトランシーバーの製作」とほぼ同じ回路で受信と送信のテストを行いました。

 計画した全体の回路構成です。最初はIFを8.192MHzで行く予定でしたが、局発周波数の調整範囲が狭かったので、10.245MHzに変更しました。これに伴いVFOの出力周波数も変更しています。

50MHz-QRP-SSBトランシーバー回路図
50MHz-QRP-SSBトランシーバー回路図

 送受信回路を作ってテストしてみました。受信と送信はVFOとBFOの切替による共通回路なので設計上はコンパクトです。受信時には、NE612の入力に高周波増幅部を入れていますが、ややオーバーゲインのように感じます。最終的には、2SK241のソースに抵抗を入れてゲイン調整が必要かもしれません。

 送信のスペクトラムを確認すると約1.2MHzと近いところにスプリアスが確認できました。基本波との差が60dB以上あるのでこのまま進めます。キャリアサプレッションを確認すると、低域側のロスが大きくなっていました。BFOを調整しても大きな改善はみられないので、クリスタルフィルターの特性ではなく別のところで影響が出ているような気がします。キャリアサプレッションは40dB程度しかありませんが、この回路ではこれ以上は難しいと思われます。

 Sメーター回路と送受信切替回路を追加しました。送信出力は最大で1W(30dBm)までとなりましたが、キャリア漏れもあるため最終的に300mW(25dBm )まで絞りました。電源はTO-92パッケージの3端子レギュレーターを使用していましたが、DDS回路やPLL回路など受信時でも100mA近く流れるため発熱が厳しい状況です。最終的には、TO-220パッケージの3端子レギュレーターに交換して小さな放熱板を追加しました。

 ケースはいつものタカチYM-250を使用しました。基板は両面テープでケース底に固定しています。スイッチ類の配置は「7MHz-QRP-SSBトランシーバーの製作」で作成したものと同じにしてみました。

50MHz-QRP-SSBトランシーバー内部
50MHz-QRP-SSBトランシーバー外観

 以下の諸元により変更申請を実施して免許を受けました。

50MHz-QRP-SSBトランシーバー送信機系統図