FMラジオの製作

 AM/FMラジオ専用ICのTA2003を入手したので、FMラジオを作ってみます。このTA2003をGoogleで検索すると、100円ショップ大手のダイソーで300円のラジオに使用されています。ただ、AMラジオとして利用しており、FMは聞けないようです。
 
 UTCのデータシートのサンプルと同じ部品でFMラジオ部分のみをブレッドボードに組んでみました。ところが、FM検波にセラミック・ディスクリミネータを接続するように指示されています。・・・・ディスクリミネータなんて持っていないし、通販で調達しようにも扱っているところがありません。・・・とりあえず、FM用10.7MHzセラミックフィルタをつないでごまかして見ましたが、受信音が歪んで聞きづらい状況です。

 インターネットで情報をあさっていると、他のAM/FMラジオ用ICでは、FM検波にディスクリミネータを使用せずに、10.7MHZのIFTコイルを使用しているものがいくつか見つかります。また、このTA2003は、3端子AMラジオICのミツミ LMF501TとコンパチのUTC7642Lを作っているUTC社製です。TA2003もOEMなのか調べてみると東芝のTA8164PというAM/FMラジオICとコンパチブルとの情報を得ました。TA8164Pのデータシートでは、ディスクリミネータではなく、IFTコイルによる検波になっているので、TA2003もIFTコイルによる検波でいけそうです。
 ところが、TA8146PのデータシートとおりにIFTコイルを接続すると、全く受信できなくなります。いろいろ試すとコンデンサでDCをカットすると正常に動作することがわかりました。コンデンサの値は、IFTコイルの調整範囲を確認しながら決めました。

 AMスーパー用のバリコン、バーアンテナとOSCコイルなどを追加してAM受信も試してみました。問題なく安定動作します。AM/FM切替方式のラジオでも良さそうですが、今回はFM専用とします。

 回路図です。RFコイルとOSCコイルは、FCZコイルの144MHz用を使用しています。乾電池2本の3V動作とするので、低電圧動作する低周波アンプICのTA7368Pを使用します。

FMラジオ回路図
FMラジオ回路図

 共立電子のユニバーサル基板にPCBEで実装図を作成しました。かなり余裕があるのでAM受信も追加できそうです。

FMラジオ基板パターン
FMラジオ基板パターン

 基板に部品を実装しました。FM用2連ポリバリコンも基板に固定して延長ノブを使用します。FM用バリコンは、容量が少ないため、ボディエフェクト等の影響を強く受けます。そのため、出来るだけ、ケースから離して影響が出ないようにしてみました。

FMラジオ基板表
FMラジオ基板表
FMラジオ基板裏
FMラジオ基板裏

 バラックで受信テストしてみました。短いワイヤーをアンテナとして受信してみると問題なく受信できます。しかし、チューニングがかなりシビアでちょっとでもずれると受信音が割れてしまいます。FM検波に使用するIFTコイルを調整しても、チューニングがムツカシイです。ちゃんと同調していればクリアの受信できるので、とりあえずこのままとします。
 また、マルチパスの影響なのか、受信音が歪んで正常に受信できない局もあります。マルチパスは、ロッドアンテナを使用して方向を調整すれば解決できると思います。

FMラジオ動作確認

 RFコイル、OSCコイルおよびポリバリコンの裏のトリマで感度や受信範囲などを調整してケースに組み込みました。ケースは、100円ショップのディスプレイ用プラスチックケースです。割れやすいので穴あけが面倒ですが、100円なので失敗しても我慢できる範囲です。基板上のコイルの調整が出来るように上面にも穴を開けました。

自作したFMラジオ
自作したFMラジオ

 ロッドアンテナが入手できていないので、60cm程度の短いワイヤーで受信していますが、感度はかなり良い印象です。市販のラジオ(60cm程度のロッドアンテナ)と比較しても遜色はありません。ただ、チューニングがシビアなので受信音が歪まないように調整するのが大変です。プラスチックケースがいけないのか、ボディエフェクトがあってチューニングをよりいっそう困難にしています。
 また、FM用ポリバリコンは通販で入手したものですが、チューニングノブを回すと中のポリエステルフィルムにしわがよって「パリパリ」と音を出しています。ひょっとするとこのポリバリコンが良くないかもしれません。機会があれば別のものを入手して試してみたいと思います。

 100円ショップの同じプラスチックケースのラジオを並べてみました。左から短波ラジオ、FMラジオの順番です。

 ラジオネタはこれで限界かもしれません。^^;


2009-08-26追記

 ロッドアンテナを取り付けました。伸ばして50cm程度ですが、実用的な感度で受信できます。


2009-08-27追記

 ポリバリコンを回すと「パリパリ」とバリコン本体から音が出て、チューニングするのが難しくなりました。外してみてみるとポリフィルムが2枚、破れています。1個140円の安物だからでしょうか。

・・・よく見ると破れていないように見えます。続きは、「ポリバリコンの修理に挑戦」の最後に追記しました。

 通販で取り寄せた新しいポリバリコンです。FM用で購入したつもりだったのですが、端子が6個あるのでAM/FM用みたいです。LCメーターでFM側を探して取り付けました。幸い、壊れたものと全く同じサイズなので簡単に交換できました。

 ピーキーなチューニング特性が改善されることを期待したのですが、残念ながら変化なしです。チューニングが難しいのはポリバリコンではなくて、コイルのQが高すぎるのかもしれません。