QRPデジタルパワーメーターの製作

最終更新時間:2021年10月10日 22時03分14秒

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origin 2021-10-10


 QRP機のパワー測定にスペアナと20dBカップラーとダミーロード、ステップアッテネーターを用意するのが結構面倒です。このためQRP専用の終端型パワーメーターを作りました。アナログメーターだとダイナミックレンジを確保するのにレンジ切換が必要となります。できるだけ簡単な回路となるようにLOGアンプICのAD8307を使用してデジタル電力計とします。
 AD8307は、数年前に知人からいただいたSOPパッケージものです。その方は、20個を海外の通販サイトから購入して、価格は1個1ドルだったと聞いています。秋月電子ではDIPのものを購入できますが1個1000円以上します。知人からは性能はDIPと同じでバッタ物ではないとの説明を受けています。一応、秋月で購入したDIP品と比較しましたが問題ありませんでした。(画像のDIP品は秋月電子で購入したもので性能比較のために以前製作したものから外したものです。)
 AD8307は、電源電圧が2.7V以上で動作しますが、PICやLCDに合わせて3.3Vで使用するとダイナミックレンジが狭くなります。下のグラフは5Vと3.3Vでの比較ですが、3.3Vの場合は-15dBmから次第に頭打ちになります。このため、性能を発揮するためには電源電圧5Vで使用する必要があります。

AD8307AD8307 5V vs 3.3V

 PICとOLEDを使用して作り始めましたが途中でAVRに変更しました。AD8307のLOG変換の傾きが1dBあたり25mVです。AD変換のリファレンスに、標準で2.56Vが用意されているAVRは、2.5mV単位(2.56V/1024=2.5mV)となるので、ADCの読み取り値がそのまま0.1dB単位に換算可能です。しかし、AVRのピン数の少ないものは、フラッシュメモリが8kByteと少ないのでOLEDが使用できません。このため普通のI2C液晶に変更しました。電源に使用するリチウムイオン電池の電圧表示用の外字を作成して表示するようにして、秋月電子のAQM0802aという8x2の小さなLCDに変更しました。AQM0802aは、本来3.3V用のLCDですが、コンロトールチップのST7032iが5Vに対応しているので5Vで使用します。AVRも8ピンのATTiny85に変更しました。


 回路図です。測定するパワーレンジは、QRPということで最大5Wまであれば十分です。AD8307のダイナミックレンジは、普通に作れば80dB程度は取れるので、+40dBm〜-40dBmを目標としました。AD8307の仕様では最大+17dBmです。+40dBmの信号入力を+10dBmとすれば精度よく測定できそうです。そのためには30dBのアッテネータを入れればよいことになります。抵抗による30dBのアッテネーターも考えましたが、30dBm以上の電力に耐えるものは、部品をそろえるのが大変です。このため20dBカップラーで電力を落として、その後に10dBの抵抗アッテネーターを組み合わせて合計30dBの減衰を得る回路としました。

QRPデジタルパワーメーター回路図

 リチウムイオン電池充放電ユニットは、aitendoの充電・昇圧一体化DCモジュール (DC4056ADJ0427)一部改造して使用します。改造は、充電部と放電部のパターンをカットして、この間をMOS-FETでON-OFFします。このモジュールはリチウムイオン電池の放電に関する安全回路がありません。そのため、AVRで電池電圧をモニターして、特定電圧以下となると自動的に電源OFFとします。また、電源ON後に10分経過すると自動的に電源OFFとするタイマー制御も組み込みました。電源スイッチはソフトウェアスイッチです。ワンプッシュで電源ON、もう一度プッシュすると電池電圧が低下したように見せかけて電源OFF動作をします。電源制御をブレッドボードで確認してからユニバーサル基板に実装しました。消費電流は全部で20mA程度と少ないので、リチウムイオン電池を18650サイズから、より小型の16340(CR123Aサイズ)に変更しました。


 20dBカップラーと10dBアッテネーターを作って特性を確認しました。150MHzまではおおむね30dBの減衰でフラットな特性となりました。カップラーの終端は、2W150Ωの酸化金属皮膜抵抗を3並列なので6WまでOKです。リターンロスは200MHzまでは21dB以上あるのでSWR1.2以下となります。10dBアッテネーターはカップラーで20dB減衰しているので、40dBm(10W)入力でも20dB(100mW)の耐圧があればOKです。このため、1/4Wのチップ抵抗(金属皮膜抵抗)が使用できます。


 秋月電子のプラケース(中)に組み込みました。信号発生器から-40dBmから+10dBmまでを入力して、変換レベルの傾きを確認しましたが特段問題ありません。10MHz0dBmの入力時に切片をソフトウェアで補正しました。

QRPデジタルパワーメーター

 FT-817の最大パワーの5Wを測定してみると偶然なのかぴったりでした。比較のためスペアナでも測定すると4.988Wとなり誤差は20mW程度となりました。ただ、どちらも真値ではなくたまたま近い値となったとみるべきでしょう。


 FT-817の出力を1Wに変更して測定してみました。スペアナとの比較で60mW程度の差があります。


 信号発生器から-40dBmを入力したときです。おおむね整合します。ここまではリニアに測定できますが、これ以下は-46dBmまでしか下がりません。なお、W表示の最小は-30dBm(0.001mW=1uW)としています。また、別のトランシーバー(FT-891)で出力を10Wとして測定してみましたが問題なく測定できます。20Wまではリニアに測定できますがそれ以上はムリでした。終端抵抗が6Wまでなので、それを超える電力の測定は短時間にする必要があります。


 目標としたダイナミックレンジ80dBは確保できています。自作した無線機や移動時の電力測定に使用できます。なお、パワーメーターとしては、-20dBm(100mW)以下は必要ありません。-20dBmから60dBmが測定できれば100mWから1kWまで測定できるので便利なツールとなりますが、カップラーやアッテネーターを工夫する必要あります。なによりダミーロードまで含めると大掛かりなものとなるのでスペアナで測定することと変わりありません。
 


外部アッテネーターモード搭載(2021-11-27)

 QRP用なので10W(40dBm)を超える場合は、20dBカップラーを使用して測定します。dBm表示は単純に20dB加算すればわかるのですが、W数はいちいち換算表を見なくてはなりません。面倒なのでソフトウェアを変更してスイッチの長押しで20dBの外部アッテネーターを使用したモードに移行するようにしました。これでdBm表示もW表示も直接計測することができます。20dBカップラーと組み合わせて、連続なら57dBm(500W)、短時間なら60dBm以上まで測定できるので1KWも問題ありませんが、W表示は999.99Wまでとしました。こうなるともはやQRP専用ではありません。



 AVRのプログラムソースです。MicrochipStudioでコンパイラにXC8を使用しています。I2Cのライブラリは、ネットで手に入るTiny用ならどれでもOKです。今回は、ばんと(bant)さんがGithubで公開されているTinyI2CMasterを使用させていただきました。リチウムイオン電池の電圧表示は、6段階で0.2V単位で表示します。電圧検出はAD変換のリファレンス電圧(2.56V)の都合上、抵抗分圧で1/2としていますが精度よく測定できています。3.0Vよりも下がると電源OFFとしています。2.8V程度まで放電させても問題ないと思いますが、安全のために余裕をもたせています。

  • メインルーチン main.c(220)  外部アッテネーターモード搭載版(2021-11-27)

すみません。バグがありました。バッテリー電圧低下時の電源OFF動作が抜けていました。修正しました。ご指摘ありがとうございます。(2021-12-12)

  • LCD表示(ST7032)ヘッダファイル i2c_lcd.h(124) 
  • LCD表示(ST7032)描画プログラム i2c_lcd.c(127)

  

このテンプレートをデザインした者がへたれなので IE6 には非対応です。IE7FirefoxSafariOperaChrome など、モダンなブラウザを利用して下さい。


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